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東京2020オリンピック 金メダリストインタビュー

ソフトバンク・甲斐拓也(捕手)インタビュー「このチームで戦えて、楽しかった」

 

攻守にチームを支えた、日本が誇る扇の要だ。チームが頂点に立つことだけを考えて過ごした濃密な日々。重圧に押しつぶされそうになりながらも、大きな夢を形にしてみせた。
取材・構成=菅原梨恵 写真=Getty Images


限られた時間の中で


 届きそうで届かなかったオリンピックの金メダルを、ついに手にした。決して楽な戦いではなかったが、終わってみれば全5試合、負けなし。すべての試合でマスクをかぶった甲斐拓也が投手陣とともに見せた巧みなコンビネーションは、日本の悲願達成に欠かせないものだった。

──大会前、甲斐選手自身は、金メダル獲得にあたって何が重要になってくると思っていましたか。

甲斐 代表メンバー発表後、シーズン中に、稲葉さん(稲葉篤紀、代表監督)が仙台の球場にいらっしゃったことがありました。そのときに「ピッチャーとコミュニケーションをしっかり取ってほしい」と言われたんです。オリンピックとなれば、いつもの試合以上に1球の重みがある。その1球にどんな意図があるのか、拓也の意図をしっかりとピッチャーに伝えるように、もっとこうすればよかったという後悔をなくすように、コミュニケーションを取ってほしい、と。そこに関しては、僕自身もすごくポイントになってくるなと思っていました。“僕自身がキャッチャーとしてどう感じているのか”をしっかりとピッチャーと共有する。野手として打つことも大事なんですが、まずはキャッチャーとしての役割というところを一番に考えていたのが正直なところです。だからこそ、投手陣とのコミュニケーションが最重要になってくるなと。

──コミュニケーションの重要性を監督とも再確認した中で、短い時間で、普段違うチームでやっているピッチャーと、となると大変な部分もあったと思います。特に新型コロナの影響で一緒に過ごせる時間も限られていたと思います。

甲斐 本当にそこは難しかったです。ホテルで部屋を行き来するのも簡単にはできない状況だったので。練習と、強化試合(7月24日の楽天戦、25日の巨人戦=ともに楽天生命パーク)、あとはブルペンで球を受ける中で、一人ひとりと話をしました。例えば、自信を持っている球もそれぞれ違うんでね。試合の前日になると少しだけ、先発だった由伸(山本由伸)や森下(森下暢仁)の部屋に行って「僕はこう思っているよ」という、最終確認じゃないですが、あらためて自分のイメージを伝えたりもしました。ただ、それも長い時間はいられないので……。

──話題となった「ブルペンへの電話」も、限られた時間でコミュニケーションを取る1つの方法だったわけですね。

甲斐 そうですね。リリーフ投手の場合は・・・

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