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至高のグラブ

【匠の現場】タンナーの誇り。良質な革を供給し続けるジュテル・レザーの挑戦

 

グラブメーカーにはタンナー(製革業者)が革を納めている。とことん革にこだわり、品質を一番理解している存在だろう。グラブ作りのキモとも言える、革製造の現場を訪れた。
取材・文=滝川和臣 写真=桜井ひとし

鞣すことで「皮」→「革」となる。品質を左右する重要な工程だ


鞣すことで「皮」→「革」へ


 グラブはいくつものパーツによって構成されているが、仕上がり具合はもちろんのこと、使い勝手に大きく寄与するものが「革」だろう。好みの型、硬さ、装着した際のフィット感、そして何と言っても使う人の手に馴染(なじ)み、型が崩れにくく長く使用できることが革の醍醐味であり、グラブの品質を左右する。そうしたグラブの命とも表現できる素材をメーカーに供給しているのがタンナー(製革業者)だ。今回は、1970年代から大手グラブメーカーに革を卸し、グラブ業界を支えるジュテル・レザーを訪問した。

 埼玉県越谷市に本社を構える同社が現在の商号となったのは2013年と比較的新しいが、前身は創業1939年(昭和14年)と古く、「沼田の革」として名の知れた存在だった。今、会長を務めるのが3代目の沼田聰氏だ。

「祖父・寿朗、父・照の名前から一文字をもらった『寿照』(ジュテル)が社名の由来です。ウチの革は戦前では軍事産業でも使われ、戦後はバッグなどファッション系を手掛けてきました。グラブ革は72年ごろにM社と二人三脚で作るようになりました。それ以降、H社などいくつかのメーカーとお仕事をさせてもらっています。今ではウチの製品の6〜7割をグラブ革が占めます」

 タンナーの仕事は、簡単に説明すれば毛のついた生の状態の皮(グラブであれば牛皮)を腐らないように手を加え、柔軟性や耐久性を持たせて製品にすることにある。その過程で重要なのが・・・

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