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惜別球人 彼らの勇姿を忘れない

日本ハム・斎藤佑樹 プロで出会った一生の宝物

 

2006年夏の甲子園で優勝を飾り、ハンカチ王子の愛称で大フィーバーを巻き起こした。早実から早大を経て日本ハムへ。プロでは厳しいシーズンを送ったが、数字以上に大きなものをファンの記憶に刻んだ。
文=金田正大(スポーツライター)

引退セレモニーで「持っている」と語った“最高の仲間たち”との記念撮影[写真=高原由佳]


 あの夏のように、清々(すがすが)しい姿だった。10月17日、札幌ドームでのオリックス戦。7回、斎藤佑樹が現役最後のマウンドに立った。最速は129キロ。それでもチェンジアップ、ツーシームを織り交ぜた7球で、全力で立ち向かった。打者1人に四球を与え、マウンドを降りた。

「ファンの方々の拍手が最後、投げる力の後押しをしてくれました」。笑みを浮かべてベンチへ戻ったあと、表情は一変した。栗山英樹監督に肩をたたかれ、声を掛けられた瞬間、涙がこぼれ落ちた。

 試合後、引退セレモニーのあいさつでは、赤く染まった瞳で入団当初を回顧した。「ファンの方に喜ばれたいと思って、チームの勝利に貢献したいと思って、必死で腕を振り続けてきました。そうすることで自分の居場所が見つかると思い、投げ続けてきました」。2011年に早大から4球団競合の末、ドラフト1位で日本ハムに入団。1年目に6勝6敗、2年目は開幕投手を務め完投勝利を挙げた。順風満帆なプロ野球人生の幕開けに見えた。2年目の12年11月、右肩関節唇損傷が発覚。華々しいプロ野球生活のスタートに暗雲が垂れ込めた。

 現役の大半は、故障との戦いだった。ケガの影響で・・・

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