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引退 男たちの決断

松坂大輔「引退会見」完全再録 「あきらめの悪さを褒めてやりたい」

 

引退試合当日、松坂大輔が引退会見を行った。家族について問われたとき涙ぐむシーンもあったが、偽りのない心情をしっかりと自分の言葉で語った。1時間に及んだ会見の内容をここに完全再録する。

2021.10.19 ラストメッセージ 会見で家族のことを問われると目に涙をためた[代表撮影]


引退を決断した要因は右手のしびれ


──現在の率直な気持ちを教えてください。

松坂 選手は誰しもが長くプレーしたいと思い、こういう日がなるべく来ないことを願っていると思うんですけど、今日という日が来てほしかったような、来てほしくないような、そんな思いがあったんですけど、現時点ではすっきりしないですね。このあと、投げることが決まっていますし、投げることができて、そこで自分の気持ちの中ですっきりするんじゃないかな、すっきりしたいと思います。

──“来てほしいな”とはどのような感情ですか。

松坂 今の自分の体の状態のこともありますし、やっぱり続けるのは難しいと思っていたので、できるだけ早くこうして皆さんの前に出てきて報告できれば良かったんですけど、7月7日に引退発表があって、当初、球団とはすぐに会見を準備してもらう予定だったんですけど、僕自身が発表したものの、やっぱりなかなか受け入れられなかった。発表したにもかかわらず、自分の中で気持ちが揺れ動いて。その中で会見するのもなって思って、球団にちょっと待ってください、と。言ってから、だいぶ経(た)ってしまったんですけど。発表してから3カ月間、「やれそうだな」と思うときが一度もなかったですね。なので、できるだけ早く終わらせられたらいいんだろうなって思いながら過ごしていました。

現役時代、ともに先発ローテを担った西口文也コーチ[左]から花束が贈られた[代表撮影]


──引退を決断した一番の要因は?

松坂 昨年の春先、右手のしびれですね。強く出るようになって、その中でも何とか投げることはできたんですけれども、コロナ禍の中で緊急事態宣言があり、トレーニングも治療もままならない。その中で症状が悪化して、できれば手術は受けたくなかったですけど、本当にほぼ毎日のように首の痛みやしびれで寝られない日々が続いて、精神的にもまいってしまったのもあって手術を決断したんですけど。これまで時間をかけてリハビリをしてきましたけれど、なかなか症状が改善しなかった。その中でもキャンプが始まって、もうそろそろバッティングピッチャーをやって、ファームの試合に投げられそうだというところに来たんですけど、そういう話をした矢先にブルペンの投球練習で何の前触れもなく右バッターの頭のほうにボールが抜けた。それはちょっと抜けたのではなくて、とんでもない抜け方をして。そういうときはピッチャーって、抜けそうだなと思ったら指先の感覚で引っ掛けたりするんですけど、それができないくらい感覚がなかったですね。そのたった1球でボールを投げることが怖くなってしまった。そんな経験はなかったので、僕の中でショックがすごくあって。松井(松井稼頭央)二軍監督と相談して、「ちょっと時間をください」と。時間をもらったんですけど、右手のしびれの症状が改善しなかったので、もうこれは無理だな、と。そこで・・・

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