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第92回都市対抗野球大会展望 注目チームクローズアップ

北海道ガス[札幌市/北海道地区] 初出場 創部4年目「KITA GAS」が掲げる旗印

 

「北の大地」の地元に根付く企業チームが、初めて東京ドームに名乗りを上げる。2018年創部。6月の社会人日本選手権で初出場を遂げると、都市対抗予選においても代表1枠を勝ち取った。社会人野球を知り尽くす指揮官の下、快進撃の予感がする。
取材・文=上原伸一 写真=兼村竜介

北海道二次予選はライバル3チームを撃破して3連勝。本大会では2勝を挙げ、北海道勢100勝の節目を飾りたいところだ


 都市対抗初出場をかけた、日本製鉄室蘭シャークスとの北海道地区二次予選。北海道ガスが2点リードして9回表の守りを迎えるも、逃げ切れず、延長へ突入した。これが予選の難しさ、厳しさである。7対7で延長12回を終えた。タイブレーク(無死一、二塁)の13回表、日本製鉄室蘭シャークスは1点を挙げた。日没が迫るその裏、小栗研人(星槎道都大)の適時打で追いつくと、一死満塁から一番・米満凪(奈良学園大)が放った打球は三塁後方のライン際へポトリ。これがサヨナラ打になり、北海道ガスは同予選3戦3勝。4時間27分の激闘を制し(9対8)、東京ドームへの進出を決めた。今年2月から北海道ガスを率いる清水隆一監督(早大)は「あれだけボールが見えにくい状況で、小栗、米満もよく食らいついてくれた」と振り返る。

今年2月から北海道ガスを率いる清水監督はかつて、名門・熊谷組[1993年12月休部]を率いた。28年ぶりの社会人球界復帰で、手腕に期待だ


 創部4年目。6月の社会人日本選手権に続く、二大大会初出場の背景には、2つのターニングポイントがあった。1つは負けから得た教訓。北海道ガスは5月のJABA東北大会の予選リーグ3試合と、同月のJABA北海道大会の同3試合で全敗した。中林健吾主将(早大)は「1つも勝てなかった現実を突きつけられ『このままではダメだ』と危機感が生まれ、より本気で練習に取り組むようになりました」と話す。JABA2大会での課題を克服し、社会人日本選手権の北海道予選を勝ち抜き、初の全国大会切符をつかんだ。

 そして、もう一つの分岐点が、日本選手権本大会1回戦(対東邦ガス)である。1対2で惜敗。初陣を飾れなかった清水監督はこう明かす。

「ウチの1点が寺田和史(東北福祉大)の本塁打だったのに対して、相手の2点は、いずれも内野ゴロによるもの。タイムリーでなくても点が取れる野球ができないと、全国では勝てないと、選手も感じたようです」

 北海道に戻ると、打撃練習に変化が出た。「フリー打撃でもただ自分のスイングをするのではなく、進塁打やエンドランなど、状況を想定して打つようになりました」(中林主将)。

 一方・・・

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