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第92回都市対抗野球大会展望 注目チームクローズアップ

Honda[狭山市/前回大会優勝・推薦] 5年連続35回目 相手のスキを突く「全員野球」の精度

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により昨年、社会人野球の公式戦は中止が相次いだが、都市対抗の伝統はつながれた。11年ぶり3度目の優勝。「常勝・Honda」が合言葉であり、JX-ENEOS(現ENEOS)の2012、13年以来の連覇を狙う。
取材・文=前田恵 写真=BBM

前回大会優勝チームは「予選免除」「補強選手なし」という条件となるが、チーム力の高さは群を抜いている。今年7月の日本選手権も4強入りした[写真=Honda硬式野球部提供]


 2020年都市対抗優勝は、まさに「全員野球の勝利」(開田成幸監督=早大)だった。1回戦(対大阪ガス)こそ12対5と打ち勝ったが、2回戦(対ENEOS)、準決勝(対セガサミー)はともに延長タイブレークの末の粘り勝ち。「ピッチャーを中心に失点を防ぎ、少ないチャンスを得点に変えていく」(同監督)

 チーム力が、実を結んだ。

 決勝でNTT東日本を下し優勝を決めたとき、マウンドで大きく両手を広げ、ガッツポーズを決めたのは絶対的なリリーバー・福島由登(青学大)。就任1年目の開田監督に指名され、主将に就いた。

「昨年は、福島がよくチームをまとめてくれました」と開田監督は振り返る。社会人野球において投手が主将を務めるケースは珍しい。率先して声を出してチームを鼓舞できる、その熱量を買った。

「試合のとき、(クローザーの)僕は3回が終わったころにはもう、ブルペンに入ってしまいます。そのあとは、副主将の辻野(辻野雄大=白鷗大)が試合に出ながら、しっかり周囲への声掛けもしてくれる。普段も野手のほうは『俺、見られんから頼むわ』と言って、辻野に任せっきりなんですよ」と謙遜する福島。

 そうは言いながらもミーティングでは折につけ、「チームとしての確認事項を必ず共有し、チームで強くなろうという意識を全員に持たせるよう」と心がけ、主将として、抑えの切り札として、開田監督の期待に応えてみせた。

スローガンが持つ意味


 昨季、開田監督が打ち出したチームスローガンは『原点回喜〜初心に戻り基本を大切にする〜』。まずは“基本の徹底”からスタートし、キャッチボールから見直した。11年ぶりの都市対抗優勝を経た今季は『全進〜感謝と喜びを胸に〜』。「全進」はすなわち「すべての面で、進化していく」という意味である。

「個々の課題に取り組みながら・・・

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