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CLOSE UP 涙をこらえて

オリックス・吉田正尚 不屈のバットマン。苦闘の先に── 「バッティングも人生もそう。ずっと良いことばかりじゃない」

 

骨折した右手首は完治しないまま、全力で戦い抜いたオリックス吉田正尚[写真=高原由佳]


6試合で覚えた“悔しさ”を力に


 苦境を乗り越えてたどり着いた打席。右尺骨骨折の痛みを押してバットを振ったが頂には届かず、1点を追う第6戦の12回裏、ネクスト・サークルで終戦を見届けた背番号34は、ベンチに戻りながら歓喜に沸くヤクルトナインを見つめていた。

 2年連続のパ・リーグ首位打者はハイアベレージに対し、今季の三振数はリーグ最少の26。「バットに当てれば何か起こる。とにかく塁に出ること。だから三振は避けたい」と話す男にとって「数字は現実」と成績から目を背けることはない。ただ、重視してきたのは成功よりも失敗だ。

「3割で一流と言われ、7割は失敗とよく言われるじゃないですか。だからこそ多いほうの失敗を減らせれば、成功率は上がると思うんです」

 凡打の原因は何なのか・・・

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