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刻んだ新たな歴史──オリックス黄金期への序章

オリックス “Wエース” 明日への投球

 

投球内容は圧巻だった。エース右腕・山本由伸と、20歳左腕・宮城大弥。チームの躍進を呼んだ“Wエース”は、日本シリーズでも快投を見せた。ただ、2人に付いた白星はない。敗退の一因とも言える左右のエース未勝利だが、それこそが来季を強く照らす光となる。なぜ、勝てなかったのか──。苦杯をなめた2人は、さらに強くなる。
取材・文=鶴田成秀 写真=高原由佳、毛受亮介

山本由伸[23歳/右右]
2021シーズン●26試合18勝5敗、193回2/3、37失点、防御率1.39
日本シリーズ●2試合0勝0敗、15回2失点、防御率1.20


終わりは始まり


 鬼気迫る投球だった。負ければ終わりの日本シリーズ第6戦。11月27日、気温7度の極寒のほっと神戸で、先発マウンドに上がった山本由伸は三振を奪うと何度も吠(ほ)えていた。

 さかのぼること1週間前。今季18勝5敗と圧巻の成績を残したエースは、シリーズ初戦のマウンドに上がっていた。結果だけを見れば6回1失点。最低限の仕事は果たすも、内容は「修正できずにダラダラいってしまった」と112球を要し、先制点を与えての降板。チームは9回に逆転サヨナラ勝ちを収めたが、「個人としては納得できない投球というか。チームに貢献できなかったので……」と素直に喜べない背番号18がいた。

 翌日の第2戦の先発マウンドに上がった男も、試合後の表情がさえない。高卒2年目ながら13勝を挙げ、山本とともに先発2本柱を形成した宮城大弥だ。緩急自在に6回一死まで一人の走者も出さない完全投球も、試合は互いに無得点で進み、8回に二死から連打で先制点を献上。直後に降板して0対2で敗れた。完封負けに続々と引き揚げるナインの中、ベンチに1人残ったままの左腕は・・・

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