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2021プロ野球記録集計号

【検証7】驚異の投球を支えた、「奪三振率」と「得点圏被打率」 栗林良吏はなぜ、防御率0点台をたたき出せたのか?

 

史上まれにみるハイレベルの争いを制し、2021年セ・リーグ新人王に輝いた栗林良吏(広島)。防御率は驚異の0点台(0.86)を記録。スーパールーキーの投球を支えていたものを、データを基に分析してみた。

2021年はこういうシーンが実に37度。ルーキーとは思えない安定感を誇った


アウトの半分以上が三振


 ルーキーながら開幕からクローザーに指名され、3月27日の中日戦(マツダ広島)にプロ初登板でセーブを挙げると、無失点投球を続け、甲斐野央(ソフトバンク)が19年に作った新人の開幕からの無失点記録「13」を抜き去った。記録はそのまま「22」まで伸びる。6月13日のオリックス戦(京セラドーム)で同点から登板してサヨナラ負けで1敗を喫するが、全試合に投手リレーの最後で投げて2勝3セーブの東京五輪を挟んで、後半戦も快進撃。登板20試合連続セーブをマークし、終わってみれば山崎康晃(DeNA)が15年に記録した新人最多の37セーブとタイ。セーブシチュエーションでの失敗は一度もないままシーズンを投げ切り新人王に。栗林良吏(広島)は21年のセ・リーグを席巻した。

 セ・リーグ6球団のクローザーとの比較で、その投球のすごさを分析してみよう(表1)。まず目に入るのが、0.86の防御率だ。開幕から22試合連続無失点、さらに6月下旬から後半戦にかけても23試合無失点を記録しているので、防御率がいいのは当然とも言えるが、最多セーブのロベルト・スアレス(阪神)も抑えて6人のトップだ。1年を通して自責点が5しかないのだから、驚くしかない。

 その防御率を支えるのは、もう一つの傑出した数字である、13.93の奪三振率だ。この数字が13.50を超えていることは、奪ったアウトの半分以上が三振であることを意味する。実際、栗林は21年に奪った157個のアウトのうち、81個が三振だ。

 このほか、「0」というとんでもない数字を出しているスアレスにはトップを譲ったが、被本塁打を「1」に抑えているも、0点台の防御率に貢献しているのは間違いないだろう。

 ただ、実は栗林・・・

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