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新春の虎 SPECIAL INTERVIEW

阪神・近本光司<選手会長> 優勝へのチャンスメーク「僕ら選手はその起用に精いっぱい応えてプレーするしかない」

 

気が付けば塁上にいる。リーグ最多の178安打を放ち、両リーグ最多となる60回のマルチ安打も記録。2022年に向け矢野燿大監督はレギュラーはこの韋駄天だけと明言。それほど阪神には欠かせないヒットメーカーだ。5厘差で優勝を逃した悔しさを胸に秘め、今年こその悲願に向け自分に何ができるのか──。
取材・構成=椎屋博幸 写真=早浪章弘、BBM

打席ではとにかく何も考えずシンプルに。そのために高い集中力を保っている


精いっぱいの? 178安打


 開幕戦から5試合で22打数1安打と個人のスタートダッシュに失敗も、徐々に調子を上げ、後半戦は打席に立てばヒットになるという状況に。しかし、一番打者としての理想を体現しながら、ホームになかなかかえることができない後半戦の状況に苦しんだ。

──2021年は近本選手が目標にしていた「100得点」には届かず、それでもリーグ1位の91得点でした。

近本 後半は特に、クリーンアップの調子がよくなかったので、全体的にチーム得点がよくなかったですよね……ただ僕自身はヒットが出ていたので出塁という形は取れていました。その中で後ろの打者が打点を挙げられるような動きをしてやれなかったのは悔しいです。

──その動きというのは。

近本 後半戦に入り、特に盗塁があまりできなかったこともあったので……。そこが後半戦で僕自身とチームの得点が伸び悩んだ要因だと思います。

──「得点」は打線の流れ、打線の強さにも関わってきます。

近本 そこが難しい部分なのです。僕が目標にした「100得点」は、そういうチームとしての目標でもあったのです。自分が塁に出て、ホームベースにかえることができるという、おぜん立てをしていくわけですから。

──4月は近本選手が打率1割台のとき17本の安打を打ち、うち13得点でした。一方10月の巨人3連戦では近本選手が8安打も1得点のみでした。

近本 そこはやはりチームという難しさですね。前半は打線も良くチームも勝っていたので得点は必然的に多くなっていた。だから余計に後半戦に僕の周りの打者が打っていないのが分かりやすい状況になっていますね。そこが勝ち切れなかった、優勝できなかった要因ですね。

──チームとして後半戦はどうあるべきだったと思っていますか。

近本 なかなか難しい質問をしますね(笑)。打たないと点が入らない、です。単純明快なことですが……。やはり相手も打たせないようにしてくるわけですから、そこをどう打っていくかです。そして打点を挙げるために打線をどうかみ合わせるか……首脳陣の方々も苦労したとは思います。それに対し僕ら選手はその起用に精いっぱい応えてプレーするしかないですよね。

──近本選手の場合は、その精いっぱいが178安打につながっていると思います。昨季は、打撃フォームの構えのときに、バットが今まで以上に投手寄りにヘッドが向いていました。

近本 そうなんですよ、知らない間に中に入っていったんです。でも、そのほうがその時期の打撃の状態にしっくりきていたので、そこをあえて、元に戻す必要はないのかな、と思っていました。それよりも僕の中では・・・

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