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優勝に欠かせない若き力 SPECIAL INTERVIEW

阪神・及川雅貴インタビュー 1球の怖さを糧に「今年は周りからも結果を求められるのでしっかり投げていく」

 

2003年優勝時の大エースは左腕の井川慶だった。獅子奮迅の投球で20勝を挙げた。その球を受けていた正捕手・矢野燿大現監督が、「井川級になれる」と高卒3年目、伸び盛りの左腕に期待を掛ける。昨季中継ぎでさまざまな経験を積み、今季に懸ける。彼の成長が阪神優勝を後押しする。
取材・構成=椎屋博幸 写真=矢野寿明、高原由佳、榎本郁也

今季は先発としてチームの勝利に貢献するつもりだ


いいときの投球を思い描く


 昨季5月後半、初めて一軍昇格を果たすと中継ぎで起用され、2試合目で初勝利をつかむ。後半戦になると勝ちパターンの6回、7回の難しい場面で起用され続けた。どんな場面でもすべてが及川雅貴の財産となっている。

──昨季は二軍スタートも、シーズンは一軍を経験しての今春一軍キャンプインです。気持ち的には大きな違いがあるのではないでしょうか。

及川 昨年の二軍キャンプでは、投げ込んで強いボールを身に付けようと思っていました。しかし、投げ込みをする中で疲れとともに、コンディションが悪くなりました。それで投げ込みが足りなくなって開幕に入ったという感じでしたので、今年はしっかり投げ込みをするために体を作ってきました。

──一軍キャンプも中盤を過ぎましたが、投げ込みはできていますか。

及川 はい、当然疲れもありますが、今のところ自分が思い描いたとおりの投げ込みはできています。ただ、もっとしっかり投げ込んでいきたいです。

──そう思うのはやはり昨季の一軍での経験が大きかったのでしょうか。

及川 中継ぎとして、緊迫した場面や点差が開いた場面と、本当にいろいろな状況で投げさせてもらいました。そこで感じたのは、どの場面でも中継ぎは“1球”というのが本当に大事だな、ということでした。

──それをキャンプでどう消化し、どう生かしていこうと考えていますか。

及川 1球に泣いた試合もあり、1球で抑えたという試合もありました。その1球の重さを考えながら、ブルペンでも試合でも投げています。

──高卒2年目でそういう経験をして、ピッチングを理解できたことは大きな財産のような気がします。

及川 本当にそうだと思いますが、それを生かすも殺すも、僕自身の“今”だと思っています。あの悔しさや、喜びを忘れずに取り組んでいきたいです。

──ゲーム差なしでの2位。及川選手の中で「あの1球をしっかり投げておけば優勝できたかも」という悔しさはありますか。

及川 2勝3敗という一軍の成績でしたが、その3敗は本当に1球で泣いたので、その1球をもっとうまく投げられていたら、結果は変わってきたと思います。そういう部分では本当に悔しい気持ちしかないです。それがオフの練習のモチベーションにもなっています。しかし、そういう自分の悪かった部分だけを追い続けても、先には進まないというか、ダメだと思うので、いいときの自分の投球を描きながら、自主トレからキャンプまできています。

──それをバネにしようとする姿を見ると余計に期待してしまいます。

及川 もちろん、昨季一軍でいい経験をさせてもらいましたが、一軍で投げている以上結果を出さないといけません。今年は周りからも結果を求められると思っていますので、しっかり投げていきたいです。

──その中で、今季は先発に挑戦していますが、そこにも昨季の経験が生かされそうですね。

及川 昨季初めて中継ぎを経験したからこそ、先発で生かされることもあると思います。今までは先発したときは、何気なく投げていた部分もありました。でも中継ぎでは、打者が打ってきそうな状況で、ストライクからボールになる球を投げて反応を見る、というようなことも勉強しましたので、先発をして各イニングでもピンチの場面でも、そういうことを生かしていきたいです。

──先発に挑戦する大きな理由は何かあったのでしょうか。

及川 もともと入団当初から先発投手で・・・

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