投じられた球は12球、うちストレートが10球、変化球が2球。3月25日の開幕戦で、エースたちが投げ込んだ1球目の結果だ。球界全体で12人しか得ることのできぬ開幕投手の誇りと重圧を綴る。 写真=井沢雄一郎(楽天生命パーク)、大泉謙也(ベルーナ)、湯浅芳昭(PayPayドーム) 【セ・リーグ編はこちら】 12球団最速の勝利投手
楽天0-4ロッテ(楽天生命パーク) 2022年のプロ野球は楽天・則本昂大の1球で幕を開けた。
16時1分、楽天生命パークでのロッテ戦。その表情は柔らかい。天を仰ぎ、自身を鼓舞する言葉をつぶやくと、ルーキー捕手・
安田悠馬のサインにうなずいた。大きく振りかぶった右腕から投じられたのは149キロのストレート。わずかに低めに外れボールとなったが、強気のインコース低めは開幕にふさわしい1球となった。2年ぶり7度目。これは楽天の初代エース・
岩隈久志を抜いて球団最多だ。ルーキーイヤーに開幕投手を務め、優勝まで駆け上がった13年から始まり、プロ10年目のシーズンは自慢の直球でスタートを切った。
相手マウンドにはベテラン右腕が立った。自身2年ぶり3度目の開幕マウンドとなったロッテの石川歩は、いつものようにポーカーフェイスを崩さない。16時7分、まだ夕暮れどきの仙台で、高卒ドライチ捕手・
松川虎生のサインにうなずき、シーズンの1球目のストレートを投じた。139キロとスピードはないものの、それこそが右腕の武器。同じ球速帯で、同じ軌道から沈むシンカーとの相乗効果をもたらすもの。低めに制球された直球が、安定感ある投球を支え、開幕マウンドも直球にシンカーを織り交ぜて凡打の山。それも10の内野ゴロが石川の投球スタイルを物語る。
試合は2人の投げ合いで0対0のまま6回表に入るが、則本が四球をきっかけに3点を失い途中降板。「四球がもったいなかった」と唇をかんだ。一方、「投げたいボールのサインが出た」と振り返った石川は、松川とのバッテリーも息ピッタリで2、6、7回以外はすべて三者凡退の無四球。7回を3安打無失点で12球団最速の勝利投手となった。
“1”を大事にしたエース
西武0-6オリックス(ベルーナ) 昨季の沢村賞右腕が風格を漂わせてマウンドに向かったのは・・・
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