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最強の監督論

12球団指揮官の現在地 くっきり分かれる明暗は想定内か想定外か

 

4月3日時点でパの首位は7戦無敗のソフトバンク、セは8勝1敗の巨人。一方、セの阪神は開幕から9連敗といまだ勝利がない。ここでは開幕直後の戦いから12球団の指揮官の思惑を探っていきたい。
※日本ハムはこちら

3月25日の開幕戦であいさつをするソフトバンク・藤本監督[右]と日本ハムのBIGBOSS。現時点では新監督2人はくっきり明暗が分かれた[写真=湯浅芳昭]


新監督の明暗


 新監督は明暗が分かれた。

 と言うより、開幕から藤本博史新監督率いるソフトバンクの快進撃が際立っている。無傷の7連勝。しかも、決してこれまでのような巨大戦力で圧倒する戦いではない。打率はいまだ.228と振るわないが、四球をよく選び、出塁率.328を誇る打線は好球必打を徹底させる野手出身・藤本監督流の戦略だろう。三森大貴の一番定着など、二軍、三軍での指導経験で若手選手の力量をしっかり把握し、信頼を得ている強みもすでに発揮している。

 さらに僅差勝負に弱かった昨季のチームはどこへやら。すべてが3点差以内の勝負での勝利。支えているのは、昨季不安定さを露呈したリリーフ陣、特に新たな形を見いだした勝ちパターンだ。セットアッパーのL.モイネロ、抑えの森唯斗は出遅れがあり、開幕に間に合ったとはいえ盤石とは言えなかった。救世主となったのが、中日からFA加入した又吉克樹。3月27日の日本ハム戦(PayPayドーム)は、7回終了時点でリードは2点。9回に森を起用するとなれば3連投というところだったが、8回を又吉に、9回はモイネロに任せて無失点に抑えた。藤本監督は「3連投は絶対に自分の中ではない」と断言。コーチと話し合いながらとは思うが、昨季まで専門外だった投手部門でも我慢の采配で長いシーズンを乗り切る覚悟を感じる。

 セでは、立浪和義新監督率いる中日が巨人との開幕3連戦を1勝2敗のあと、本拠地バンテリンに戻ってからDeNAに3タテを食らう試練の船出となった。好機にあと一本が出ず、スコアボードにゼロが並ぶ光景は昨年のVTRを見ているようでもあり、新指揮官自身、「ここまで打てないと投手陣がもたない」と嘆いたこともあった。それでも昨季と大きく異なるのは打線の中に“希望”が見えることだ。二番に座る岡林勇希、破壊力抜群のルーキー鵜飼航丞、将来の四番候補でもある石川昂弥。彼ら若竜をスタメンで使い続けるのは「2、3年後にレギュラーを獲れる選手を使う」というチーム改革に基づくもの。そこにブレはない。ただし、3月30日のDeNA戦では岡林が3打席ともにフライを打ち上げると即座に交代させる厳しさも見せた。

 我慢の采配はしばらく続きそうだが・・・

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