3年前、U-18W杯で仲間とともに過ごした充実の日々。それは、プロ入り、大学進学、社会人となった後の活力となり、今に生かされている。当時の現場取材から見えた黄金世代が描く“夢”物語。 文=沢井史 写真=BBM 互いに互いを認めて
「朗希世代」なのか?
「奥川世代」なのか?
2019年の野球シーズンが本格化する4月ごろから、高校野球界ではそんな議論がされていたように思う。奥川恭伸は星稜高で1年秋から140キロ後半の速球を披露。2年春から4季連続で甲子園のマウンドを踏み、3年夏の甲子園で準優勝して名実ともに全国区となった。佐々木朗希も同じく1年秋からストレートが147キロを計測するなど早くから評判が広まっていた。190cmの長身から左足を大きく上げ、長いリーチを生かしたフォームは迫力十分。2年秋にはストレートが157キロをマークし、“岩手の怪腕”“令和の怪物”と評されるまでになっていた。
春のセンバツが閉幕した直後の4月に行われたU18の日本代表一次候補合宿では、その奥川、佐々木が初対面することになった。多くのマスコミ、NPBのスカウトが練習会場で視線を送る中、2人がはにかみながら談笑する光景は今でもはっきり記憶している。1日目に行われた紅白戦で、佐々木のストレートは高校生では最速とされる163キロを計測した。周囲の注目度がさらにヒートアップする中、奥川は「僕と佐々木君を比べられることが多いですが、佐々木君のほうが上です。佐々木君のほうがずっとすごいボールを投げていますよ」と謙そんしながら話していた。
常に謙虚で穏やかな表情を見せる奥川は・・・
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