鳴り物入りでプロの世界に飛び込むも、じっくりとその能力を育んできた。体づくりに励んだ1年目、実戦デビューを果たした2年目、そして、本格覚醒のときを迎えている3年目──。“令和の怪物”を間近で見続けてきたブルペン捕手とトレーニングコーチが、そのすごみを語る。 取材・構成=鶴田成秀 写真=内田孝治 自分のボールを知る
初めてボールを受けたのは、朗希(
佐々木朗希)の1年目、2020年の沖縄(キャンプ)だったと思います。18歳がこんなボールを投げるの? と、ただただ驚くばかりで。僕らが18歳のころは140キロを投げれば、すごいと言われていた時代でしたから。スピードは球速表示が出るので皆さんも知るところだと思いますが、ボールを受けると163、4キロ以上に感じるんです。真っすぐが強く、手元で伸びる。ましてやフォークもあるわけですから、簡単に打てないのは、受けていても感じることです。
僕から技術的なことを伝えることは当然ないのですが、朗希から受けた感想を聞かれることはありますよ。ボールを受けるのは主に登板前々日のブルペン。ただ、朗希は投げ込むタイプではないので、感覚的な質問が多いんです。「真っすぐの走りはどうですか?」「今のフォークは、どう落ちましたか?」など。入団1年目は、フォークがあまり落ちず、いろんな握りを試していましたし、貪欲さというか、自分のボールを知ろうという強い気持ちが伝わってくるんですよ。ものすごいボールを投げているのに、首をひねって納得していないときもありますから。「えっ!? このボールでも納得できないの?」って(笑)。
ただ、彼の一番の成長を感じるのは普段の練習中。あれだけ騒がれた1年目は、周りも「どんなヤツなんだ?」という感じがあったのは確か。周りの投手も、どう接していいか探り探りだった感じでした。それが・・・
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