ライオンズを率いて今季で6年目になる辻発彦監督。就任当初は源田壮亮、山川穂高、外崎修汰らの才能を開花させ、2018、19年にはリーグ連覇を果たした。そして現在、過渡期を迎えているチームで経験が乏しい選手の能力を引き上げようと日々奮闘。育成と勝利の両方を追い求めながら采配を振るう辻発彦監督に若獅子について聞いた。 取材・構成=小林光男 写真=江本秀幸、BBM 3月29日の日本ハム戦[札幌ドーム]、プロ初先発初勝利を飾った佐藤[右]と辻監督
夏央は今ぐらいやってくれれば十分
夏央(
滝澤夏央)は正遊撃手の源田(源田壮亮)が離脱して、打つほうよりも守れるということで抜てきしたのですが、守備は高卒1年目の選手とは思えないくらい素晴らしいです。遊撃手で一番必要というか、これができなかったら任せられないというのはスローイング。もちろん打球に対するスタートなども抜群なのですが、やっぱりスローイングが安定していないと、ベンチからなかなか安心して見ることができません。夏央はスローイングが乱れることが少ない。そこが最も彼が優れている点だと思います。
夏央にアドバイス? そんなにないですよ。今ぐらいやってくれれば十分。ただ、私も現役時代、社会人からプロに入って真っ先に感じたのは、バッターランナーの足がアマチュアと比べて速いということ。打球を処理した際、「アッ」と思ったときにベース近くまで進んでいて、慌てて投げて暴投してしまう。プロのスピード感に慣れることが必要。あとは状況判断ですね。そんなに慌てなくてもいい状況もありますから。例えば足が遅い打者が放った打球に対して、ムチャクチャに突っ込んでファンブルしてしまうことがあってはいけません。
6月7日の
巨人戦(ベルーナ)でも、夏央が二遊間の当たりをさばいたときにジャンピングスローをして一塁へ高く送球してしまった。アウトになったからいいかもしれないけど、バッターランナーもそこまで足が速くなかったし、腕を目いっぱい上に伸ばして捕球したことで一塁手のアグー(山川穂高)にも負担がかかってしまいます。それなら一歩ステップを踏んで、正確に送球しなさい、と。夏央だけじゃなく、内野手全員に常に言っていることですけど、派手なプレーはいらないということです。夏央はそういう状況判断を向上させて、さらにレベルを上げてもらいたいですね。
夏央以外にも期待の若手はたくさんいますよ。5月末、左ヒザ前十字じん帯損傷から約1年ぶりに一軍復帰した2年目の若林(
若林楽人)は昨年も感じましたけど・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン