新たなチームの守護神となったドライチ右腕が、遺憾(いかん)なくその真価を発揮している。ボールの力はもちろん、抜群のマウンド度胸と動じない心こそが最大の武器。新時代のクローザーの胸の内を聞く。 取材・構成=杉浦多夢 写真=桜井ひとし、小山真司、BBM ※情報・成績は6月19日時点、年齢は2022年の満年齢 【2022成績】21セーブ 26試合1勝1敗0H、防御率2.81
25.2回18安打3本塁打33三振、奪三振率11.57、被打率.196
理想のフォームの追求
もはや「勢い」だけではないことは明白だ。開幕からクローザーに抜てきされること自体が異例だったが、新人として40年ぶりの開幕戦セーブを挙げると、そこから快進撃が始まった。決して打たれないわけではない、点を取られないわけではない、それでもリードを守り切ってチームに勝利を運ぶ。新人史上最速となる60試合での20セーブ、交流戦終了時点でリーグトップの21のセーブを重ねた。本人は数字にこだわらないが、新人最多のシーズン37セーブはもちろん、西村健太朗が2013年にマークした球団史上最多の42セーブも視界に入る。そこをクリアしたとき、「ジャイアンツ史上最強守護神」の称号は、この男のものになる。 ──新人史上最速の60試合で20セーブに到達しました。
大勢 特に実感はわきませんでしたね。最速ということより、しっかり仕事をした数のほうが大事だと思います。セーブシチュエーションで失敗した場面もありましたし、思い描くように抑えることができなかったこともありました。そういうときに、次の登板までに修正すべきところを修正して投げることができたのはよかったかなと思いますし、その積み重ねの結果だと思います。
──登板を重ねる中で余裕が出てきた部分もありますか。
大勢 余裕はないですね。クローザーが投げるのはほとんどが1イニングだけなのですが、先発ピッチャーの勝ち星を消してしまうリスクもありますし、そうした力の入る場面で出ていきます。その繰り返しの中で、知らず知らずのうちにフォームが崩れていってしまう。そうした部分の修正や、配球面でも「あそこはもっと変化球でいったほうがよかった」「真っすぐでいっていたらもっと楽に打ち取れた」とか、そういうことを考えながら次の登板に備えることができているのは大きいというか、よかった部分かなと思っています。
──試合によってストレートのアベレージが抑えめな試合があります。そこは調整しているのでしょうか。
大勢 試合の中でいろいろ試す、特に体の使い方でもっとよくなる部分があるんじゃないかと常に思っているので。そういったことを試す中で、多少マックスに近いスピードが出ていないときもあります。ただ、毎日のように試合がありますが、僕がそうしたことを試せるのは常に緊迫した場面しかない。でも、そこで試していかないと進化もない。ここから先の登板でも、しっかり挑戦してチャレンジして、もっとよくなっていきたいです。
──今の球種はフォークとスライダーですが、進化のために持ち球であるチェンジアップや緩いスライダーも実戦投入していくことは考えていますか。
大勢 今はそこにはフォーカスしていないです。それよりも取り組んでいるトレーニング、骨盤の使い方だったりということをもっとフォームに落とし込んで、ボールの質や伸びというものをレベルアップさせていきたいです。
──確かに開幕当初からシーズンの目標のひとつとして理想のフォームに近づく、固めることを挙げていましたが、現時点での完成度や手応えは。
大勢 やろうとしていることが出てきた部分もありますし、逆に・・・
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