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変化球特集「落とす」を極めろ!

ロッテ・佐々木朗希インタビュー 進化を呼んだ原点回帰「見逃せばボール。だからこそ──」

 

確かな武器であるのは自らも認める。最速164キロのスピードが注目を集めるが、鋭く落ち、150キロに迫る“高速フォーク”も圧巻だ。プロ入り後はボールが落ちず、試行錯誤を繰り返して手にした魔球は、高校時代の握りに戻したもの。そんなフォークの落ち方は1つではない。武器を武器とするために──。使い方にも“怪物理論”がつまっている。
取材・構成=鶴田成秀 写真=桜井ひとし

落とした“先”を行く


グラブに隠されるフォークの握り。今季の快投の一因は、ここにもある


 最速164キロのスピードを際立たせる落差十分の魔球。ベース手前でバウンドする“ボール球”を振ってしまうのは、打者心理も読み解く使い方があってこそ。ボールを落としたその先を意識する“令和の怪物”の頭の中を覗いてみれば、難攻不落の理由が分かってくる。

──初めてフォークを覚えたのはいつで、きっかけは何だったのでしょう。

佐々木 高校2年の春くらいからで、きっかけは……特にあったわけでもないんです(笑)。普通にフォークを投げてみようと思って。でも、最初はフォークを投げることで、肩とかヒジに負担が大きいイメージもあったんですよね。だから、高校に入ってからは投げようと思わなかったですし、覚えてからもなるべく投げないようにしていたのもあって。体のことも考えて、もう大丈夫かなと思って練習で覚えつつ投げるようになりました。

──覚えて投げていく中で、フォークを投げる難しさを感じたことは。

佐々木 いや、割とすぐに投げられるようになりました。でも、プロに入ってから落ちなくなって。たぶんですけど、高校とプロでボールが変わったことで、感覚も変わったことが1つの理由なのかなって。多少は投げ方とか体の使い方も(理由に)あると思いますけど、感覚が変わったことが大きかったと思うんです。

──確かに1年目は「落ちない」と言って浅く握ったスプリットを試投するなどしていましたね。

佐々木 はい。あのときも、スプリットを投げようと思っていたのではなくて、フォークの感覚を磨く上で試していて。深い握りで落ちないなら、浅い握りなら、どうなのかなって。

──試行錯誤を重ねて、今年から高校時代のフォークの握りに戻しました。

佐々木 昨年のシーズンが終わって、自主トレのときから握りは変えようと思っていたんです。それで、キャンプのブルペンでも投げてみて。実戦で投げても良いときの感覚がしっくりきて。一番、(感覚が)ハマったときは本当にしっくりくるものがあったんです。それで、もう一回、この握りでいこう、と思ったんです。

──握りを戻した理由は、ボールの軌道に変化を求めたということでしょうか。

佐々木 はい。昨年までの握りは・・・

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