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2022 PACIFIC LEAGUE CHAMPIONS

<優勝監督CLOSE UP>オリックス・中嶋聡監督 劇的Vに導いた“ナカジマジック” 「感無量――。ここまで連れて来てくれた選手たちに本当にありがとうと言いたい」

 

変幻自在のタクトはさらに冴えわたった。多くの苦境に見舞われる中で、指揮官は巧みな用兵と采配で活路を切り開き、再び頂点に立ってみせた。


 言葉の力を持っている。戦術や起用を含めた采配が“ナカジマジック”と称されるが、その根底には選手にかける“言葉”がある。負けられない戦いが続いたシーズン終盤。試合直前のベンチ内では、欠かさず円陣が組まれた。輪の中心には中嶋聡監督がいる。最終戦にナインにかけた言葉は「勝って終わりたいな? 優勝のことを考えるなよ。勝って、喜ぼう。笑おう。全員で行くぞ! 全員で勝つぞ!」だった。

 特別なことは言ってはいない。ただ、キーワードがある。それが『全員』だ。浸透したシーズン終盤のスローガンも“全員で勝つ!!”。「全員が戦力」と言ってきた指揮官はいつも「全員」を強調してきた。思い返せば二軍監督から一軍監督代行となった2020年の就任会見もそうだった。キーマンを問えば「いや、もう全員です」ときっぱり。「二軍にもまだまだ選手がいますし、それを全部自分では分かってるつもりなんで、ホントに良い選手を使っていきたい」と、迷いなき言葉は力強かった。

 だから、結果を残せばチャンスは巡ってくる。求める結果もそれぞれ。進塁打や犠打の小技の選手もいる。バスターやダブルスチールなど、注目を集める多彩な戦術は、それぞれが力を発揮してこそ成せる業。役割の徹底こそが“全員で勝つ!!”の真意にほかならない。

 ただ、まだ道半ば。今季の開幕戦でのミーティングで指揮官はナインにこう声をかけた。

「昨年はただ単に優勝ということを考えていましたけど、その上を目指します。日本でまだ2番目です。本当のトップを目指しましょう」
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