勝てば無条件でソフトバンクのリーグ優勝が決まるシーズン最終戦、最後の最後でロッテに逆転負けを喫し、オリックスに逆転を許す歴史的V逸。幕張の地で鷹が墜落した。 写真=高塩隆 ロッテに敗れてリーグ優勝を逃したソフトバンク。柳田[手前右]、今宮[同左]をはじめ誰もがうなだれた
前夜のサヨナラ負けの嫌なムードを、プレーボール直後の
三森大貴の先頭打者弾で吹き飛ばしたかに思われたが……。チームを待っていたのは、あまりにも衝撃的で、あまりにも残酷なラストだった。
勝てばいい――。誰もが分かっていた。決戦を前に
藤本博史監督が「笑って今日が最後です」と語れば、キャプテン・
柳田悠岐は円陣で「ここまで来たら、やるしかない。3時間死ぬ気でやろう」とナインを鼓舞。歓喜の瞬間へ、一人ひとりが気合十分。特に柳田は、むち打ちの症状をものともせず、ダイビングキャッチに2戦連発となるソロ。文字どおり、先頭に立ってチームを引っ張った。
しかし、歯車は突如狂い出す。6回、二番手でマウンドに上がった
泉圭輔が一死一、二塁から
山口航輝に逆転被弾。7回には
甲斐野央が追加点を許した。ここまで何度もチームを救ってきた自慢の救援陣がほころびを見せると、攻撃陣も1点を返した8回二死満塁の大チャンスでY.
グラシアルが遊ゴロに倒れた。
もちろん、チームは最後まであきらめることなく戦い続けた。ただ、ゲームセットの瞬間、笑顔を見せていたのは対戦相手のロッテであり、遠く仙台のオリックスだった。
指揮官は「誰がどうのこうのじゃない。これが結果」と現実を受け止め、「選手たちは1年間よく頑張った」と労いの言葉を残した。最後まで下を向くことのなかった柳田は「一歩足りないというところが力かな」。“足りなかったもの”。それを埋めるためにチームは一つとなり、もっと! もっと! もっと! 強くなる。