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浅野翔吾(高松商高・外野手)令和の怪童伝説「身長を言い訳にすることなく、夢を与える選手になりたい」

 

高校通算68本塁打。周囲は今夏の甲子園で見せた豪快なアーチを期待するが、今後、目指す選手像は自身で冷静に見極める。右のスラッガーには、多くの可能性が詰まっている。
取材・文=岡本朋祐 写真=山田次郎

高松商高では冬場の12月から2月までは木製バットで練習してきただけに、金属バットからの移行に違和感はないという


 検索すれば、すぐに疑問は解決する時代。浅野翔吾が最近、チェックしているキーワードは「怪童」だ。

「周囲の方から、同じ右打者の中西太さんに『似とる』と言われることが多く、ネットで調べるようになりました。プロで素晴らしい実績を残されている(首位打者2回、本塁打王5回ほか。1388試合、打率.307、244本塁打、785打点)。中西さんは決して体が大きくなくても(現役時代の登録は174cm93kg)打たれていた」

 西鉄の強打者として豪快な打球を放ち、数々の伝説を残した中西氏は香川・高松一高出身。1949年春、夏、51年夏の甲子園に出場するなど、本塁打を量産し「怪童」と呼ばれていた。

 浅野が中西氏と比較されるきっかけとなったホームランは、今夏の甲子園準々決勝で近江高・山田陽翔から放ったバックスクリーン弾である。

「バックスピンの効いた打球でした。打った瞬間、角度でいった、と。真っすぐに飛んでいきました。山田とは高校日本代表でずっと一緒だったんですが『ライナーかと思ったが、それが入った』と話がありました」

 3年間、指導した高松商高・長尾健司監督は、あの一撃を振り返る。

「高松の英雄・中西さんの打球はこんな感じだったのかな、と。低い打球の当たりが『なかなか落ちないな』と思っていたら、途中からグーンと上昇して、そのままフェンスの向こうへ消えていく。ゴルフのドライバーショットのような弾道でした。周りの方が言われるように、中西さんに似ていますね。雰囲気、体重(浅野は87kg)、スイングの軌道も。芯に当たればスタンドイン。高校レベルで言えば、転がせば正面以外、内野手は一歩も動けないまま打球が抜ける。詰まらせようと内角攻めをすれば、バットの根っこでとらえた打球は内野手と外野手の間に落ちる。つまり、最もリスクが少ないのは(四球で)、一塁へ歩かせることでした」

 主将として出場した今夏の甲子園3試合で打率.700(10打数7安打、3本塁打、6打点)、出塁率.800。近江高との準々決勝では、2点を追う7回一死一、二塁から申告敬遠。相手としては、無条件で同点の走者を二塁へ進め、満塁のリスクを抱えてでも、浅野との勝負は避けたかった。だが・・・

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