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日本シリーズ全戦 完全詳報&徹底解説

【2022日本シリーズ 第2戦】配球を読み切ってたたき出した同点3ラン(解説=辻発彦)

 

激闘を繰り広げた日本シリーズ全7戦を前西武監督の辻発彦氏が徹底解説。黄金時代の西武、ヤクルトで10度の日本シリーズ経験(日本一7度)を持つ勝つ術を知っている辻氏が勝敗を分けたポイントに迫る。
解説=辻発彦[前西武監督]

ヤクルトが3点ビハインドで迎えた9回裏、無死一、二塁で代打・内山が見事な同点3ランを放った


10/23(日) 第2戦@神宮球場
□観客数=29,410人 □試合時間=5時間3分
ヤクルト3-3オリックス

[オ]P山崎福、H山崎颯、H宇田川、Hワゲスパック、阿部、H本田、H比嘉、近藤-C伏見
[ヤ]Pサイスニード、大西、石山、今野、Hマクガフ、H清水、H田口、木澤-C中村
[本]内山壮(ヤ/9回裏3ラン)


 先発の山崎福也から山崎颯一郎宇田川優希、ワゲスパックとヤクルト打線を8回までゼロに抑えたこの試合、オリックスにとっては勝ち切らないといけない試合だった。3対0とオリックスリードで突入した9回裏。しかし、この回から登板の阿部翔太が先頭の宮本丈に二塁打を許してしまう。7回に代打で登場していた宮本。フルカウントから3球粘り、9球目の真ん中直球をはじき返した。厳しいボールは食らいついてファウルにし、甘くなった1球を見逃さない。宮本の見事な打撃だった。

 この一打が阿部に与えた心理的影響は大きかったと思う。九番から始まった9回裏、2人ランナーを出せば四番・村上宗隆に回ってしまう。一発が出れば同点という場面で三冠王と対峙するのは避けたい。それが続く塩見泰隆の打席で表れた。塩見の状態がいいこともあるが、慎重なピッチングに終始した阿部。1、2球目と外角低めにカットボールが外れて2ボール。2年目の今季、シーズンで44試合に登板して22ホールドを挙げ、防御率0.61と見事な成績を残した阿部だが、あんなに変化球が外れるのは見たことがなかった。「この試合は絶対に落とせない」というプレッシャーも強かったのだろう。結局、フルカウントから外角高めに直球が外れ、四球。無死一、二塁とピンチは広がってしまった。

 ここで・・・

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