オフに補強を敢行し、新たな陣容を整えつつあるチームをどう率いるか。特に新監督に注目が集まるが、ここでは埼玉西武ライオンズ第11代監督に就任した松井稼頭央監督に直撃インタビュー。特に西武は正捕手の森友哉がオリックスにFA移籍し、難題を抱えるがそれをどう乗り越えていくのか。新指揮官の考えを聞いた。 取材・構成=小林光男 写真=榎本郁也 ヘッドコーチから昇格して監督に。就任会見で「L」ポーズを決めた
グラウンドを駆け巡る野球
「キーマンは僕だと思います」
監督就任会見でそう決意を述べた松井稼頭央新監督。その思いは本音だろう。2021年は42年ぶりの最下位に沈んだが、22年は3位と飛躍したライオンズ。再び上昇気流に乗りつつあるチームを新指揮官が率いるが、勢いをさらに押し上げることができるか。強い決意で新生ライオンズを築き上げていく。 ──ヘッドコーチだった2022年は3位に終わりましたが、チームの戦いぶりを振り返るといかがだったでしょうか。
松井 バッテリーで勝つ試合が増えたことは非常に大きかったと思います。打線は打てないといろいろ言われますけど、その中で山川(
山川穂高)は何度も試合を決める打撃をしてくれました。四番の仕事をしっかりとしてくれましたね。
──ただ、やはりリーグ最下位のチーム打率.229、同5位の464得点に終わった打線は課題だと思います。
松井 近年はピッチャーの質、レベルが上がってきています。そう簡単に打ち崩すことはできません。そこで何をすべきか。守備でリズムをつくって攻撃につなげる、足を使って得点につなげる、そういうところが大事になってくると思います。22年はリーグ最低の60盗塁に終わりましたが、走れる選手は多いので。それを生かしていきたいと思います。
──監督就任会見でも「グラウンドを駆け巡る野球をやりたい」と理想を語っていました。
松井 盗塁すること以外でも、打者がワンヒットで二塁まで進む、走者が一塁から三塁へ行く。相手のスキを見て、一気にホームにかえってくることもそうでしょう。二塁打、三塁打を量産することも。そういった動きのある野球をやれば、ファンも盛り上がって、魅了できるのではないかと思います。
──
東尾修監督の下、チームスローガンに「Hit! Foot! Get!」を掲げて優勝を果たした1997年を思い出します。同年、松井監督は62盗塁で初めてタイトルを獲得して……。
松井 チームで200盗塁したときですよね。なかなか、そこまではいかないでしょう(苦笑)。でも、やっぱり動いていかないと。いい投手にはそうしないと点は取れません。打つだけではなく、走ることはやっぱり大事。ただ、これは新しい野球ではありません。ライオンズ伝統の野球ですから。
──攻守走、すべてが大事ですが、その中でもまずは“走”を重視していく、と。
松井 秋季キャンプで、「アップから手前で力を抜くのではなく走り切ろう」ということは選手に言いました。そういうところからの意識づけは大事だと思います。とにかく、「プロフェッショナルとしてのアップをしようよ」と。アップは練習のスタート。「入り」と考えると、非常に大事なところです。そういうところはコーチ、スタッフも含め、全員で根気よく選手に言っていきたいと思います。でも、少しずつ選手の意識は変わってきました。アップもだいぶ良くなってきましたね。ただ、まだ合格点ではない。もっともっとできるはず。それでも、まずは一歩踏み出せばOKでしょう。本当にここからですね。
──ほかに選手に伝えたことは。
松井「当たり前のことを当たり前にやろう」ということですね。実は、これが一番難しいんですよ。凡事徹底じゃないですけど、当たり前のことをどこまで極められるか。打つ、打たないは相手がいることなので、どういう結果が出てもしょうがない。ただ、当たり前のことはしっかりやりたい。例えば・・・
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