週刊ベースボールONLINE

WBC特集 世界一奪回へ燃える侍【展望編】

日本代表監督・栗山英樹インタビュー 日本野球の魂「ファンに本当に楽しんでもらうためには勝ち切るしかない。それだけを考えてやっていく」

 

14年ぶりの世界一奪還に向けていよいよ侍ジャパンが2023WBCに挑む。MLB選手5人を加え、史上最強と目されるメンバーがそろった日本代表は、果たして世界の舞台でどんな戦いを繰り広げるのか。指揮官の胸の内に迫る。
取材・構成=杉浦多夢、写真=阿部卓功、榎本郁也

栗山英樹日本代表監督


目指すべき野球とは


「栗山英樹の野球」というものはない。先人たちが積み上げてきた「日本の野球」で、ただ「勝つ」のみ。勝つために選んだ30人の選手たちを心から信頼し、その能力を最大限に引き出すことで、14年ぶりとなる世界一を奪還する。2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に挑む栗山英樹監督の頭の中には、それしかない。

――最大の目標である世界一奪還に向け、2023WBCの開幕が迫ってきました。あらためて今回の侍ジャパンの目指すべき野球を教えてください。

栗山 今回は日本野球がどういうものかというのを世界に示していくためにも、勝ち切らないといけないと思っています。当たり前のように野球をやっていますが、日本の野球がここまで来るには先輩方が苦労を重ねながら、いろいろなものを培ってきてくれたからこそ今があるわけです。変な話ですが、九九もそうですよね。九九があるから、簡単にみんなが計算をして答えを出すことができる。それがなければ「3掛ける4」と言われても答えを出すことができない。野球も一緒で、先輩方がベースとなるものをつくって下さったから、われわれはその歴史の上に乗っていくことができるわけです。日本野球が積み上げてきたものというのがすごく重要で、僕は「日本野球の魂」という表現を使いますけど、そういう戦いになると思うので。過去の戦いであったり、野球界の先輩方が培ってきた知恵というものを生かして、勝ち切りたいと思います。

――「栗山英樹の野球」ではなく、「日本の野球」ということですね。

栗山 僕の野球とかそういうものはもう全然、関係ないので。とにかく選手たちを信じてやるだけです。勝ち切るのは選手たちなので。その能力を思う存分に出せるようにしていかなければいけないという感じですね。

――その上で、30人のメンバー選考にあたり、悩んだ末に15人目の投手を選んだことも含めて重視したのはどんなところだったでしょうか。

栗山 日本野球の緻密さ。世界一の緻密さということを考えれば、ピッチャー中心にしっかり守り切って、我慢して、最後に勝ち切る。そういうパターンのイメージが湧きます。ただ、国際試合ではどの国と戦っても接戦になる。どこかで点を取らなければならない。そのバランスはとらなければいけない。ピッチャーのところがすごく気になるのでメインに考えながらも、野手のバランスも考えながら選びました。

――投手陣に関しては、第2先発以降も含めた継投策を非常に重視しているように感じました。

栗山 ピッチャーで勝つと自分で決めたからには、大事なところで手が打てないというのはあってはならない、一番やってはいけないことだと思います。ピッチャーを代えて、そのピッチャーの調子が悪いと感じたのにそのまま投げさせてしまうのは最悪ですから。そういう意味では・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング