元捕手、元打者、元審判員の4氏に「自分が現役時代に関わった中で、最高の剛球投手は誰でしたか」という質問を投げかけ、その答えを語ってもらった。 取材・構成=小林篤(坂口)、落合修一(加藤)、武石来人(山崎) 【バッター編】はこちら 【キャッチャー編】伊東勤・「剛腕」と言えば郭泰源。松坂の“最速”はルーキーイヤー
地を這う軌道からホップ 西武の現役時代にバッテリーを組んだ投手で「剛腕」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは郭泰源投手(西武)です。当時「トラックマン」などの計測機器があったとすれば「回転数」がズバ抜けていたのではないかと思います。理論上はあり得ないのですが、球はホームベース上に来ても落ちることなく、浮いてくる感覚さえありました。肘の位置がやや低く、身長も
佐々木朗希投手の190cmに対し、180cm。上から投げ下ろすフォームでありませんでしたが、ホップする直球の軌道は
江川卓さん(
巨人)に相通じるものがありました。
球の出どころが低かった分、地を這(は)うような軌道から手元でホップしたため、打者は打ちづらかったことと思います。打者は直球を芯で捉えたと思ってもボールの下を空振りしたり、たたいて打ち損じたりしていました。ゴロアウトが多かったのも特徴でしたね。
この直球に加え、スライダーのコンビネーションは非常に効果的でした。スライダーは途中まで直球とまったく同じ軌道です。打者は球種を読めたとしても、バットの芯でとらえることが至難の業で細かな配球に頭を悩ます必要のない投手の1人でした。
落合博満さん(
ロッテほか)ほどの大打者が最も手ごわかった投手に挙げるのも当然だと思います。
来日後しばらくすると、走者を背負っていない場面や、打力に欠ける打者相手には力を抜き、省エネ投球をするようになりました。一方で、ここぞの場面や強打者相手には1段も2段もギアを上げていました。傑出した直球があるからこそ、好投手の条件の一つでもあるメリハリを利かせた投球が可能になっていました。
バットを押し込む剛速球 2人目は現役晩年に受けた
松坂大輔投手です。こちらはホップするというよりは・・・
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