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2023WBC総決算

<大会総括>感動と称賛の裏で――さらに成熟し前進するために必要なのは「公平性の担保」

 


あってはならない曖昧さ


 第1回から17年を経て、WBCは今年、5回目を迎えた。劇的な世界一奪還を成し遂げ、感動と称賛の声が飛び交う中、相も変わらず「いい加減な大会だった」というフレーズもついて回っている。そう言われてしまうのは、国別対抗で野球の世界一を決める大会と銘打ちながら、公平性が担保されていないからだ。

 今回、日本がマイアミでの準決勝に勝ち上がった場合、3月19日と20日(現地時間)の2日間のうち、日本の試合は20日になる、ということは早々に発表されていた。おそらくは日本の放送局の編成上の都合だろう。東京ドームで行われた準々決勝についても3月15日と16日のうち、16日のほうに組み込まれることが決まっていた。しかしながらチケット発売の際にそのことが広く周知されていなかったため、日本戦のチケットがあっという間に売り切れる中、空席があった3月15日の準々決勝のチケットを「日本戦になる可能性がある」と信じて購入した人が続出してしまった。

 莫大な放映権料を支払う放送局の都合でそうした日程の調整が行われるのは、何もWBCに限った話ではない。だからなのか今年の1月、WBCの公式ホームページに突如、「アメリカが準々決勝に勝ち上がった場合は1次ラウンドの順位にかかわらず」と明記の上、アメリカはQ4(準々決勝の4試合目)に入ると記された。そこで勝てば組み合わせ上、アメリカが準決勝の2日目に入ることになり、つまり日本が組み込まれている試合の対戦相手となる。そんな流れから「日本とアメリカがともに勝ち上がった場合、対戦するとしたら決勝ではなく準決勝」という既成事実が出来上がった。

 しかし3月16日の午前中、急きょ、開かれたMLBによる記者会見で、アメリカが準決勝に勝ち上がった場合は現地時間の日曜日(準決勝の1日目)に試合が行われ、日本とは対戦しないことが発表された。その際、主催者側は「これは変更ではない」と強調している。いつしかホームページの『1次ラウンドの順位にかかわらずQ4』の注釈も消去されていた。しかもMLB関係者へのさらなる取材によると「アメリカが準決勝を戦う場合は必ず19日の日曜日に試合を行うというFOXテレビとの契約があった」とのことで、「だからこれは変更ではない」と繰り返す。

 しかもその関係者は・・・

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