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2023WBC総決算

<侍ジャパン総括>世界一奪還の勝因とは!? 指揮官の「思い」を乗せたタクト

 

14年ぶりの世界一奪還を遂げた栗山英樹監督率いる侍ジャパン。悲願の優勝を手繰り寄せた勝因はどこにあったのか。侍たちの戦いとポイントを総括する。
文=杉浦多夢 写真=BBM


プラスαの力


 結論から言えば、今大会における侍ジャパンは強かった。決勝ラウンドの2試合こそ1点差のクロスゲームになったものの、終わってみれば7戦全勝とパーフェクト。66安打9本塁打70四死球で総得点は56に対して、44被安打8被本塁打16与四死球で総失点は18。東京ドームでの1次ラウンドでは相手との力の差があったことは事実だが、投打ともに優勝に値する力を見せ、第3回大会のドミニカ共和国以来となる全勝でのWBC制覇を成し遂げた。

 強さを発揮できた要因。それは栗山英樹監督が戦前からストロングポイントだと口にしてきた「日本野球の魂(=継承)」と「投手力」を前面に押し出しながら、投打ともにプラスαの力が加わったこと、そして指揮官の巧みなタクトにある。


 1次ラウンドは重苦しいゲームが続いた。各試合とも序盤は思うように先制パンチを浴びせることができなかったからだが、打順が一回りしてからは着実に得点を重ねていき、終わってみれば快勝というゲームが続いた。初戦の中国戦のようにシンプルに「あと1本」が出ないこともあったが、チェコ戦では相手先発のオンジェイ・サトリアのスローボール、「来ない」チェンジアップにタイミングが合わなかったところから、二回り目に入るタイミングで各打者がアジャストしていった。

 国際大会ならではのストライクゾーンに戸惑ったこともあるだろう。選手たちは総じて「左右は変わらないが、高めのストライクゾーンが広い」と口にしていた。これも各打者が1打席目で傾向を把握し、2打席目以降につなげていった。ちなみに村上宗隆だけは「高めにも『外にも』広い」と言っていた。序盤の不振は、ほかの打者以上にストライクゾーンへの対応に苦慮していたことも一因にあるのかもしれない。

 攻撃陣のプラスαの力は、ひとつは言うまでもなくMLB勢、もうひとつは・・・

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