約1カ月前、世界を熱狂と感動で包み込んだ侍戦士たちは今、おのおの所属チームで“次の戦い”に挑んでいる。日本球界では各リーグの頂点を目指す143試合がスタート。新たにどんなプレーで私たちを沸かせてくれるのか──。侍の二番打者は、今度はソフトバンクの二番打者として、その役割を全うする。 取材・構成=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭、BBM、Getty Images ※年齢は2023年の満年齢 WBCから休む間もなくシーズンへ。疲れを感じさせない勝負強さで打線をけん引している
一打席一打席の切り替え
世界の舞台でまざまざと見せつけた。持ち前の高い打撃技術と鋭い選球眼を発揮して日本代表に貢献した近藤健介は、世界一を手土産にソフトバンクに帰ってきた。今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でのかけがえのない経験を通じて得たたくさんのものを、新チームにも還元。3年ぶりのリーグ優勝、日本一につなげていく。 ──WBCが終わって休む間もなくシーズンがスタートしました。疲れなどはなかったですか。
近藤 正直なところ、あります(苦笑)。気持ちの切り替えというところでは、移籍1年目ということもあってWBCはWBC、シーズンはシーズンと、いい緊張感もありながら入れたかなとは思いますが、体はウソをつかないですね。疲れはどうしても……。ただ、(日本に)帰ってきてからずっとあった時差ボケは、今はもう大丈夫です。
──春季キャンプ半ばでチームを離れ、結局ソフトバンクでの実戦経験がないままシーズン開幕を迎えました。そこに対する不安はなかったですか。
近藤 そこはあまり。WBCでも結構打席に立ちましたし。僕が不安というよりは、首脳陣の方だったりファンの皆さんのほうが「どうなるんだろう」というのはあったんじゃないのかなとは思います。毎年毎年、開幕を迎えるときはどんなシーズンになるんだろうという不安はもちろんありますけど、新しいチームというところでの準備の不安はあまりなかったですね。
──WBCでいい打撃ができていたからこそ、いい形でシーズンに入れたというところもあるのでは?
近藤 どうなんですかね。ピッチャーも全然タイプが違いますし。気持ちの面では少し楽に入れたのかなとは思いますが、技術的なところだったりアプローチの部分では特に影響はなかったのかなと。僕自身、今の状態がいいとも思っていないので、そこまでつながっているとはあまり思っていないです。
──WBCでの好調の要因は、どこにあったと思いますか。
近藤 (日本代表の)メンバーを最初に見たときに一打席勝負が多くなる、代打が多くなるというのは、ある程度頭には入れていました。結果的に全試合スタメンで出場することにはなりましたが、そういう一打席一打席の切り替え、次の打席、次の打席という意識でできていたのが、一番よかったなと。どうしてもシーズン中になると(1試合)4打席というふうに考えたりしてしまうので、そこは一発勝負のWBCの中で学べたことかなと思いますね。
──今回のWBCは今までにないくらい緊張したそうですね。
近藤 めちゃめちゃしました。注目度も(これまで出場した)プレミア12だったり、オリンピックだったりとは違う感じがしましたし、それこそWBCの場合は・・・
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