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若き逸材たち NEXT HOPE INTERVIEW

<高卒3年目の超新星>オリックス・山下舜平大 インタビュー 新機軸を打ち出して「とにかく野球が好きなんです。だから──」

 

開幕戦で一軍デビューを果たした20歳が球界に革新をもたらす。変化球の細分化が進む球界も、福岡大大濠高時代から武器である真っすぐを生かすため、投じてきた変化球はカーブのみ。プロ入り後にフォークを習得したとはいえ、わずか3球種で打者を圧倒し続けている。そんな自らの投球への考えは――。入団から2年の育成期間を経て、ベールを脱いだ右腕が、これまでの歩みと思い描く未来像を語る。
取材・構成=鶴田成秀 写真=牛島寿人


ケガの功名で


 転機は1年前の5月。昨年まで身長が伸び続けていた右腕は、成長痛と腰痛に悩まされ、実戦マウンドに上がれず。そんな4カ月間で得たものが今季の快投につながった。「本を読むようにしたんです」と、物事を深く考えるようになったというのは、新人年のときとは異なる口ぶりからも分かること。“未完の大器”は、自らの頭で自らを育んできた。

──開幕から圧巻の投球を見せています。山下投手自身、自らを客観視すれば、自分をどんなピッチャーと表現しますか。

山下 現段階で、ですよね? う〜ん、なんだろう……。未熟なピッチャーですかね。まだ投げ始めて数試合ですし、ボール一つひとつを見ても、まだまだなところばかり。『こういうピッチャー』と言えるものがまだないので。分かりやすく言えば、『パワーピッチャー』という表現になるのかなと思いますが、その点でも、まだまだ。もっと伸ばしていかないと、はっきり言い切れない部分でもあるんです。真っすぐをどんどん伸ばして、押し切れるピッチャーになっていきたいので。

──そのストレートはプロ入りから5キロアップの最速158キロを計測し、一軍の打者も圧倒していますが“成長度”では手応えもあるのではないでしょうか。

山下 いや、1年目、2年目は苦しいシーズンでもあったし、ケガもしたので。でも、そのケガをしている期間に『考えること』『考えて行動すること』の大事さを感じたのが大きかったんです。あの期間に良い時間を過ごせたから、今があるのかなとも思っています。

──開幕投手で一軍デビューし、5月8日時点で4試合に先発して3勝という好結果にも、つながっていることですか。

山下 最速もそうですし、真っすぐの平均球速が上がったことが、自分の投球の一番のベースになっていて。あの期間があったので、球速が伸び、投球が変わったのかなって。結果より内容として、そこにつながっているのかなと思います。

──こだわり続けてきた真っすぐが投球の軸なのは、やはり変わらないのですね。

山下 はい。変わらないと思います。それに投げていて真っすぐが一番、面白い。練習などの取り組みも含めて、やっていて楽しいんですよね。ストレートって。

──楽しさを覚える部分はどこですか。

山下 球速が上がるのは、目に見えることなので、分かりやすいんですけど、こういう軌道(腕を前に伸ばしながら)で投げられるようになりたいとか、そうやって理想を求めているので。そこを目指しながら、磨いていくのが楽しいんです。

──理想を求める中で平均球速が上がったのは、ショートアームを取り入れたことが一つのきっかけです。そのフォーム改良も昨年の故障中でした。

山下 そうなんですよね。だから・・・

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