年々、進化を続けている「投手・大谷」だが、今季は「スイーパーピッチャー」へとさらなる変貌を遂げた。新球種スイーパー流行の理由と特性、その中でも「大谷のスイーパー」の特殊性と今季の投球を、データ分析のスペシャリストがひも解いていく。 文=森本崚太 写真=Getty Images ※情報・データは現地時間6月22日現在 POINT[1] スイーパー流行の理由
2023年の大谷翔平投手を分析するにあたって、「スイーパー」の存在は語り落とせません。
スイーパーはMLBで今季から球種のひとつとしてカウントされるようになりました。オフの間にデータシステムを構築するにあたって新たな球種として加わり、過去のデータも洗い直してスイーパーに分類する作業をしているようです。
スイーパーはもともと存在した球種で、スライダーの中でも大きく横滑りし、落差の少ない球種を指します。昨季はMLB投手全体の投球割合において2.8%とスイーパーが流行し、今季は5月時点で4.4%とさらに割合は大きくなっています。ちなみに昨季、スイーパーで失点を防いだ1位が大谷投手でした。
流行し、球種のひとつとしてカウントされるようになったということは、少なくともMLBクラスであれば多くの投手が投げることができるボールということです。動作解析やボールの質の研究が進み、投げ方というものが共有されてきているからです。ひと昔前であれば「大谷ボール」と呼ばれていたかもしれませんが、そういう意味では「魔球」感は今後もどんどん薄れていくことでしょう。
なぜスイーパーが流行したかというと、フライボール対策でスタンダードになった高めのストレートと相性がいいからです。特にインコースへのストレートのスピードが上がれば打者は早めの準備が必要になりますが・・・
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