週刊ベースボールONLINE

日本球界を席巻したスーパーパワー 助っ人たちの記憶

【再録インタビュー】‘87の怪物ボブ・ホーナー「仕上がり具合は85%ぐらい。3週間あれば完璧な状態に持っていける」

 

これまで多くの力自慢・技自慢が海を渡ってきたが、その中でも日本球界に大きな衝撃を与えたのは1987年途中にヤクルトへ加入したボブ・ホーナーだろう。金髪に眼鏡をかけた大男はデビュー4戦6本塁打の大暴れ。在籍は1年も、その姿は多くのファンの脳裏に焼き付いている。ここでは、本誌1987年5月25日号に掲載された、来日初のインタビューを再編集してお届けしよう。
写真=BBM

ボブ・ホーナー


好球必打が大基本


 1978年にドラフト全体1位でブレーブスに入団し、同年に新人王を獲得。9年間で通算215本塁打を積み重ねた“本物”のメジャー・リーガーが日本球界へとやってきた。デビュー4戦で11打数7安打、6本塁打。36年前、日本のプロ野球界はどこへ行っても、この男の話題で持ち切りだった。

──いや、すごい。大アーチが飛ぶたびに日本中が揺れ動いている。「ホーナー現象」という新語までできました。

ホーナー(以下、ホ) ちょっと待ってくれないか。間違ってもらっては困る。私は、ホームランを狙っているわけではないんだよ。自分ではむしろ、打率だけを考えてバッターボックスに入っていると言っていい。それは、私のバッティングに対する基本的な考えだ。

──アーチストというより、アベレージ・ヒッター?

 そうだ。私はアベレージ・バッターだ。本格的に野球を始めてから、ずっと同じ考えでやってきている。

──ということは。

 バッティングというものは、まずヒットを打つこと。ヒットが出なければ、何も始まらない。そうだろ。アベレージが高ければ高いほど、そのほか(本塁打、打点)のものが、自然についてくるというものだ。だから私は、打率を最優先に考えるんだ。

──5月9日の佐世保での対広島戦。ネット裏には、5球団のスコアラーが集結し、あなたの盲点探しに血眼になりました。右へ左へと一発ずつ。「どこへ投げさせたらいいんだ」と、早くもお手上げ状態でした。「ほとんど悪球に手を出さない」という声もあった。

 打席に立って一番必要なことは、自分にとって一番、手ごろな球を打つことなんだ。手ごろとは、打ちやすいボールだね。それを待つというのが、バッティングの大基本。それを全うしていれば、好球必打につながる。

──日本にやってきた外国人選手のバッティングを見ていると、初球から手を出す打者が多かった。日本の投手の間では、初球を気にさえすれば、抑えられる、という外国人攻略法まであります。

 さっき話したように、私は2ストライクまでは好球必打の姿勢で待っている。そのときにストライクを見逃すこともあるよ。ストライクでも、自分では、一瞬のうちに、これは自分にとって打ちごろの球ではないと判断するからだ。2ストライク後は、そういう球でも打たなきゃならないが……。9日の広島戦、最後の打席はそうだった(投ゴロ併殺打)。ただ、中途半端なスイングをしてしまったことには非常に悔いが残った。

──先ほどの他球団のスコアラーの話ですが、たとえ満塁であろうと歩かせるしか・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング