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日本球界を席巻したスーパーパワー 助っ人たちの記憶

【LEGEND CROSS TALK】ランディ・バース×マット・マートン ウィー・ラブ・タイガース! トラの伝説的助っ人が語り合う阪神、甲子園、そして大谷翔平

 

2度の三冠王を獲得した打棒で1985年、阪神唯一の日本一に導いたランディ・バース。来日1年目の2010年に当時シーズン最多の214安打をマークしたマット・マートン。球史に名を残す阪神の助っ人の対談が、ここに実現。愛する阪神タイガース、甲子園球場の思い出話を語り合い、そして現在、メジャーを席巻する大谷翔平にまで話が及んだ。
取材・文=楊枝秀基 写真=早浪章弘、BBM 取材協力=ホテルグランヴィア大阪

(左)マット・マートン[阪神2010〜15]、(右)ランディ・バース[阪神1983〜88]


フェアグラウンドを広く使って打つ


──野球殿堂入りおめでとうございます。現在の素直な感想をお願いします。

バース(以下、B) 阪神タイガースでプレーできたことに本当に感謝です。まさか自分が日本の野球殿堂の一員になれるなんて思ってもみませんでした。これは途方もない名誉です。

──1985年から2年連続2度の三冠王。阪神21年ぶりのリーグ優勝、チーム史上唯一の日本一に貢献した成果ですね。

B 確かに2度の三冠王と阪神のリーグ優勝、日本一という結果が、私の殿堂入りを後押ししてくれたのは事実だと思います。タイガースが強くてファンに喜んでもらえた期間は非常に短かったかもしれませんが、いいときも悪いときもいつも阪神ファンが私たちを支えてくれました。阪神ファンは私にとって史上最高の存在です。ファンの存在も今回の受賞を後押ししてくれたと思っています。あらためて非常に感謝しています。

──殿堂入りまでには時間がかかりました。2004年に「プレーヤー表彰」での殿堂入り資格を喪失。13年から「エキスパート」部門に回り11年目で殿堂入りが実現しました。

B ここ7年ほどかな。日本の野球殿堂職員の方から「今年こそ殿堂入りしますよ」と毎年のように電話で連絡をいただいていました。しかし、そんなふうに言ってもらえたとしても、どこかで信じられない自分もいました。昨年、サントリー・ドリームマッチで東京ドームを訪れたとき、球場内にある野球殿堂を訪問しました。野球殿堂職員の方は本当に私の殿堂入りに関して興味を持ってくれていて、私自身が殿堂入りを望んでいるのかということに関しても気にしてくれていました。そして今年の1月に私の電話が鳴りました。殿堂入りの知らせを聞いたときは信じることができませんでした。正直なところ日本の野球殿堂の一員になることができて、光栄に思っています。

──殿堂入りに際し、当時の打撃コーチである並木輝男氏の名前を出されていました。

B 並木さんは辛抱強く私の練習に付き合ってくれました。センターからレフトへ打球を運ぶんだということを教えてくれました。そのきっかけは「ガイジンストライク」でした。来日直後、明らかにアウトコースに外れたボールを審判にストライクとコールされたときに聞いた言葉です。そこで考えました。その外角のボールを打てるように練習するのか、あるいは三振し続けるのか。その結果、並木コーチと一緒に外角球を逆方向に打つ技術を習得するため、練習を繰り返しました。自分のモノにするまでには半年かかりましたね。並木さんの助けがなければ、来日3年目、85年の活躍は考えられません。さらに言えば、殿堂入りもなかったでしょうし、こうしてインタビューを受けている私もいなかったはずです。

──引退後は阪神の助っ人への助言として「ストライクが来るまで我慢。浜風を利用してセンターから左に打球を運べ」と繰り返しコメントしています。

B そうですね。毎年のように阪神担当の記者の方々に同じような質問をされていますからね。クレイグ・ブラゼル(09〜12年阪神在籍)など外国人の左打者に対してのみのアドバイスに聞こえるかもしれないけど、これは日本の選手も含めすべての阪神の打者に言えること。すべてのフェアグラウンドを広く使って打つ。マートンもすべてのフィールドを使って安打を量産したでしょ。今の阪神で言えば三塁を守っている佐藤輝明が気になりますね。彼がもっと左翼フィールドに打球を打つのを見たいです。彼はボールを引っ張ることができる。これからは中堅から左翼方向に打球を運ぶことに取り組むことを期待しています。そうすれば本塁打ももっと出るようになりますよ。

マートン(以下、M) 私もタイガースの試合はすべてではありませんが、映像などでチェックしています。7月12日のDeNA戦に関しては甲子園で観戦させていただきました。ルーキー・森下翔太の打撃での活躍が素晴らしかった。バースさんが言うように佐藤は、まだ成長途上ですね。今季の阪神が「ARE」を達成するためには・・・

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