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甲子園の光と影 あの夏の記憶。

<OMNIBUS DOCUMENTARY>7人の現役プロ選手が振り返るあの夏の答え。【後編】

 

あのとき流した涙の意味は大人になった今だから分かることもある。貪欲に勝利を目指して白球を追い続け、懸命に過ごした高校時代。甲子園出場の有無にかかわらず、あの夏に得た課題は、その後の野球人生に生かされる。7人の現役プロ選手、若葉のころの答え──。
【前編】はこちら

【ANSWER 5】ヤクルト・高橋奎二「力に変える大切さ」


京都・龍谷大平安/2014年春夏、15年春出場


 2年春には背番号10番を着け名門・龍谷大平安をセンバツ初優勝へと導いた。同大会の準決勝では栃木・佐野日大の好投手・田嶋大樹(現オリックス)に投げ勝ち、大きな自信を手にすると、同夏は甲子園の開幕戦のマウンドへ。

 埼玉・春日部共栄に敗れて春夏連覇こそ逃したが、6回2/3を無失点に抑える好救援。「それまでの悔しさをぶつけた」という京都府大会の不調から見違える投球に、「『やっぱり圭二は本番で力を発揮する子なんやな』と。彼の気持ちの強さをあらためて知ることができた試合でした」と原田英彦監督は、左腕の大舞台での強さを感じたという。

 さかのぼれば、近畿大会を制した1年秋の府大会ではベンチ外。だが、軸だった投手が故障した。「これは大変なことになった」と困り果てた指揮官の頭に浮かんだのが高橋奎二だった。その後の練習試合で好投しチャンスをつかんだ左腕は主戦投手に抜てきされて近畿大会で公式戦デビュー。全4試合に先発しチームを11年ぶり5度目の優勝に導いている。大舞台での強さはプロ入り後も健在。ヤクルト入団6年目の2021年、初の日本シリーズで完封勝利を挙げ、日本一に貢献すると、翌年の同舞台でも6回無失点投球で白星を挙げた。侍ジャパンの一員として世界一に輝いた今春のWBCでも1試合に登板し2回無失点の好投。それでも決勝ラウンドの登板はなく、「この悔しさを持ってやっていきたい」とまだまだ先を見据えている。

 ヤクルト次世代エースの期待が高まる左腕だが、3年最後の夏は甲子園のマウンドに立つことはできていない。同年春は背番号1を着けてセンバツに出場(初戦敗退)、夏も自らの好投で仲間を聖地へ連れていく思いだった。しかし・・・

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