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甲子園の光と影 あの夏の記憶。

<PLAYER'S OATH>『選手宣誓』変遷 勇気を届ける誓いの言葉

 

思いを乗せた言葉には力が宿る。希望を込めた誓いは、これまでも、そしてこれからも球児や関係者のみならず、全国の人々へ勇気を届け続けていく。
写真=BBM

金沢高・石田翔太


時とともに形を変え


 第15回大会(1929年)から夏の始まりを告げている選手宣誓。誰もが一度は耳にしたことのあるフレーズ「われわれ選手一同はスポーツマンシップにのっとり正々堂々と戦い抜くことを誓います」を、どれだけ明朗快活に読み上げることができるかが大事にされていた。時代が移り変わりゆく中で、いつしか高校球児たちの心の叫びをダイレクトに世の中へと発信する場に変わっていく。特に近年は、『誰かのために』の気持ちが前面に押し出されているものが多い。背景には、野球という集団競技に懸ける球児たちだからこそ生まれた、社会情勢に対する意識や、災害による被害を受けた人を応援したいという思いが含まれている。だからこそ、多くの人に共感され、感動を与えているのだが、ここまで変化を遂げるまでにはターニングポイントとなった宣誓があった。

 定型文に初めて大きな変化があったのは第66回大会(84年)で宣誓を務めた福井商(福井)・坪井久晃主将の言葉だ。

「宣誓! われわれ、選手一同は第66回全国高等学校野球選手権大会に臨み、若人の夢を炎と燃やし力強く逞(たくま)しく、甲子園から大いなる未来に向かって正々堂々と闘い抜くことを誓います」

 当時の常識を覆す宣誓に、誓いを立てる場なのだから、独自性を入れる必要はないと反対する声もあった。一方で・・・

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