ベンチプレス95kg、スクワット150kg。鍛え上げた体と超高校級のフルスイングで長打を量産する。この夏はあと一歩で甲子園に届かなかったが、1敗を教訓に次なるステージへ準備している。
取材・文=沢井史　写真=佐藤真一

今夏の京都大会は無念の準優勝

　今夏の京都大会では毎試合の前日に、仲間同士でT字カミソリで頭を剃り合い、五厘頭で挑み続けた。「試合ごとに気合を入れるためです」。小笠原蒼を筆頭に京都翔英高は闘志を込めたプレーで快心のゲームを重ねた。4回戦では昨秋の府大会覇者・乙訓高を相手に1点ビハインドで迎えた9回表に3点を奪い、劇的な逆転勝利(4対2)。昨秋の準々決勝で、7回コールド敗退した雪辱を果たした。準々決勝では福知山成美高を7回コールド(9対1)で圧倒し、準決勝では、優勝候補筆頭とされていた京都国際高を撃破して勢いに乗る立命館高との打撃戦を制して(13対6)、決勝まで上り詰めた。

　7年ぶり2回目の夏の甲子園を目指す京都翔英高の中心にいたのが、四番・小笠原である。180cm95kgのどっしりとした体格から見せるスイングは超高校級だ。打つだけではなく、乙訓高との4回戦では投手として先発し、4回1失点と試合をつくり、最速144キロのポテンシャルを誇る。

　決勝は・・・