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オリックス黄金期到来 完全無欠V

地元に届けた歓喜 独走Vで3連覇成る! 果敢に挑み続けた王者

 

悲願の地元Vだ。過去2年は地元ファンとともにリーグ優勝を喜べずにいただけに大阪の地での胴上げは全員が目指していたもの。マジック4で迎えた9月19日からの2位・ロッテとの直接対決で連勝を飾って地元に届けた歓喜の時。3年連続15回目のパ・リーグ制覇ながら、過去2年とは異なる頂点までの道のりと、喜びにオリックスナインが感情を爆発させた。

一度もマジックを消すことなく、最後は本拠地4連勝で歓喜の時。9回を締めた山崎颯一郎と捕手・森友哉が交わした抱擁を中心に歓喜の輪が広がった[写真=佐藤真一]


 ナインの笑顔が3連覇の根幹だ。勝利を飾り、歓喜の輪に駆け込む先陣にあった背番号1。選手会副会長を務める福田周平は、優勝が決まった9月20日、デーゲームのウエスタン・阪神戦(鳴尾浜)に出場していた。「見える世界が全然違いました」と昨季までの胴上げと目にする景色が異なるのは、約2カ月半、一軍から遠ざかり、同日時点で24試合出場にとどまるもどかしさと無関係ではない。V決定に喜びを爆発させたが「うれしい半面、悔しさもあった」は偽りなき本音。昨季までリードオフマンを務めた男の現状が、チーム内競争の激しさ、そして戦力層の厚みを物語るが、それこそがチームの最大の武器だ。

 優勝を決めた130試合終了時点で先発オーダーは123通り。支配下登録67人のうち、一軍出場は58人を数え、掲げた『全員で勝つ!!』を体現した。山本由伸宮城大弥の左右の先発二本柱に加え、山下舜平大東晃平と若手が台頭。野手でもFAで加入した森友哉、開幕直前に支配下登録された新人・茶野篤政ら、新戦力に負けじと杉本裕太郎中川圭太若月健矢宗佑磨ら昨季のVメンバーが奮闘して起こした“化学反応”こそ、進化と変化を続けた2023年のオリックスの正体だ。

ペナント、トロフィー、優勝旗を手にナインが球場を一周。優勝決定直後のセレモニーも、“3連覇”で初のことだ


 王者ではなく挑戦者──。出場機会を求め、競争の末の結束は、勝利という結果で示し、過去2年はシーズン終盤での逆転Vも、今季は7月9日から首位の座を渡さず、8月26日にマジック24を点灯させ、固定なき布陣で独走Vロードをひた走った。歓喜の輪で見せた福田の“笑顔”と“本音”は、その象徴だ。むろん、チームを束ねる指揮官の思いも同じ。優勝後に中嶋聡監督は口にした。

「ゲーム差とかそういうのはまったく関係ない。自分たちの内容を追求してきた。まだ強くなれるチームと思っていますから」

 競い合い、高め合い、己と戦い、相手に挑む──。浸透した『全員で勝つ!!』は、ナインの姿勢を凝縮した言葉に過ぎない。

 球団15度目となる優勝、そして3連覇を悲願だった地元で成し遂げても挑戦は続く。次なる戦い、CS、日本シリーズで出番を得るため、優勝から2日後の23日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で背番号1は一番・中堅で先発出場して2安打。次なる戦いがある限り、王者ではなく挑戦者の姿勢を崩さない。3連覇は、その結晶だ。

全員が戦力で、全員で勝ち、全員でつかんだ栄冠。左腕・宮城大弥ら体調不良で不参加の選手もいたが、全員で健闘をたたえ合った

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