まさに「圧勝」でリーグ制覇を成し遂げた阪神。残るセ5球団はなぜ虎にここまでの独走を許してしまったのか。広島&DeNAのクライマックスシリーズでの逆襲はあるのか。「対阪神」に主眼を置きながら、2023年シーズンのそれぞれの戦いを振り返る。 写真=BBM ※成績・情報は10月1日現在 【広島編】はこちら 【DeNA編】はこちら 【2023成績】 69勝70敗2分、勝率.496、519得点、506失点、164本塁打、47盗塁、打率.252、防御率3.43
【対阪神成績】 6勝18敗1分、勝率.250、73得点、111失点、22本塁打、8盗塁、打率.219、防御率4.14
甲子園戦績/3勝10敗勝率.231
【阪神独走を許した原因】連勝もカード勝ち越しもなく球団ワーストの18敗を喫す
対阪神だけで借金12。「伝統の一戦」は一方的な結果となった
「伝統の一戦」と呼ぶことが憚(はばか)られるような惨敗劇だった。
終わってみれば阪神に対して6勝18敗1分け。1979年の9勝17敗、2003、04年の10勝17敗1分けと過去3度あった17敗を更新する阪神戦のシーズン最多敗戦。戦績を見てのとおり、連勝もカード勝ち越しも1度もなく、5連敗が1度、4連敗が2度という惨憺たるありさまで、勝率はわずか.250にとどまってしまった。
挙句、9月12日からの甲子園での3連戦で3連敗を喫し、目の前で胴上げを許すという屈辱を味わうことになった。10月1日現在で阪神の33の貯金のうち、12までをも献上してしまったのだから、独走を許した「A級戦犯」と言われても仕方がないだろう。
今季は阪神戦に限ったことではないが、とにかく投打がかみ合わず、ことごとく競り負けた。阪神に喫した18敗のうち1点差の負けが7試合、3点差以内の負けとなると15試合を数える。初黒星を喫した4月12日の東京ドームの試合では、相手先発の
村上頌樹に7回までパーフェクトに抑えられブレークのきっかけを与えてしまった。村上降板後の8回に1対1の同点に追いつきながら、延長10回に勝ち越しを許して競り負けたのは、今思えば暗示的でもあったかもしれない。
遺恨が残るアクシデントもあった。7月2日の東京ドームだ。2対2の7回一死一、三塁で、代わったばかりの
高梨雄平が、初球をいきなり
近本光司の脇腹にぶつけた。近本は右肋骨の骨折と診断され離脱。試合は2対2で引き分けに終わったものの、少なくとも阪神ファンに火をつけてしまったことは間違いない。以降、阪神戦で高梨が登板すると異様な雰囲気でのブーイングが巻き起こる。鋼のメンタルを誇る高梨がそのことに動揺したとは思えないが、7月26日の甲子園、8月8、10日の東京ドームと、立て続けに阪神戦で失点を喫して敗戦の一端となってしまったことは事実だ。
打線がつながれば投手陣が崩れ、投手陣が奮闘すれば打線が沈黙する悪循環。阪神が「死のロード」に突入した8月に東京ドームで5連敗を喫すると、反発力を完全に失った。9月12日の甲子園では先発の
山崎伊織が8回116球で3安打、1失点の快投を見せながら、打線が
西勇輝に2安打完封を許して見殺しにすると、翌13日の同戦も先発の
青柳晃洋から計4投手の継投の前にまたも零封負け。そしてV決定となった14日は7、8、9回に1点ずつをもぎ取ったものの、時すでに遅しだった。
そして、18敗目となった9月20日の甲子園・・・
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