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2023年ドラフト目玉 「東都7人衆」の素顔

武内夏暉(国学院大・投手)這い上がった努力と探求心「チームが勝つためにリーグ戦をやり切る。その先にドラフトがある」

 

野球人生とは、分からないものだ。福岡県立八幡南高校では、目立った実績はない。人との縁で国学院大への進学が決まると、まったく異なる世界が広がった。
取材・文=岡本朋祐

東洋大・細野との投げ合いとなった同1回戦[10月11日]では、7安打完封勝利。1対0の投手戦を制し、ドラフト1位候補対決を制した[写真=田中慎一郎]


 好きな言葉は「挑戦」。武内夏暉は「今の自分よりも、常に上に行く」と、現役選手である限り、歩みを止めない。尊敬するのは2023年のパ・リーグ最年長選手であるソフトバンクの左腕・和田毅だ。

「小学校4年時、通っていた整骨院のイベントで、餅つき大会がありました。和田さんのトークショーも行われ、親近感を持ち、以来、ずっと応援しています。和田さんは研究熱心で長年、プロ野球の第一線で活躍されている。自分も1年でも長く、プレーしたいと思っています」

 この秋を控え、進化を見せた。8月25日のソフトバンク三軍との交流戦で自己最速を3キロ更新する152キロ。3日後、大学日本代表として登板した高校日本代表の壮行試合(東京ドーム)では、さらに1キロ更新する153キロ。和田との共通点である「腕の出どころの見づらさ」を追求してきた成果が出た。

「テークバックを意識して、打者から見て、軽く腕を回していると思わせておきながらも、急にボールが出てくる、強いボールを投げるのが理想です。リリースでは一切、力まず、間をつくる投球フォームがなじんできた手応えがあります。リーグ戦では中1日の登板でも疲れがなく、自分のピッチングができている」

 185cmの長身から、角度ある真っすぐにはキレがあり、左打者、右打者とも内角で勝負できるのが強み。変化球もツーシーム、チェンジアップと精度が高い。

「あきらめなかったのが、根底にある。高校野球引退の瞬間から、勝負が始まった、と。親にプロに行った姿を見せたい」

高校時代のハイライトは3年春


 大学まで脚光を浴びる舞台とは無縁だった。小学校時代に在籍した東筑ファイターズでは一塁手兼投手も「ほとんど投げていません」。エースは同じ左腕の武藤敦貴(都城東高-楽天)だった。武内は当時から、左肘に痛みを抱えていた。

「中学は硬式でのプレーを断念。近所の中学校も野球が盛んではなかったので、生徒を集めていた(私学の)折尾愛真中(軟式野球部)に1期生として入学しました。2年秋に左肘(離断性骨軟骨炎)の手術を受け・・・

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