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2023年ドラフト目玉 「東都7人衆」の素顔

西舘勇陽(中大・投手)世界観をつくるクイック投法「野球は流れのスポーツですので、押し切るところは押し切る」

 

岩手県出身。高校時代、県内には同級生の大船渡高・佐々木朗希(現ロッテ)がいた。別次元のレベルだと、比べることもなかった。あの夏から4年が経過した。
取材・文=岡本朋祐

3年春から取り入れたクイックでの投球が、西舘の投手人生を変えたと言っていい。左足を出して、すぐにテークバックに入る独特なリズム感で打者を牛耳る[写真=田中慎一郎]


 同郷の同級生として、どうしても触れなければいけない投手がいる。今年3月のWBCで世界一に貢献したロッテ4年目の165キロ右腕・佐々木朗希。2019年7月25日。甲子園をかけた岩手大会決勝で、大船渡高・佐々木は先発を回避した。花巻東高・西舘勇陽は4年前を回顧する。

「投げてくる想定で、研究を重ねていました。動揺? なかったです。先制点を奪って、主導権を握ることしか考えていませんでした(花巻東高が12対2で勝利。エース・西舘は9対1の6回裏から救援)。自分たちは普通でしたが、大船渡さんはやりづらかったかもしれません」

 西舘にとっては2年春、夏に続いて自身3回目の甲子園のマウンドだった。「岩手から日本一」を目指して腕を振ったものの、鳴門高(徳島)との1回戦で敗退(4対10)。二番手で救援した西舘は5回2/3で6失点と、大舞台で力不足を痛感した。当時の最速は149キロ。プロからも注目されていたが、3年春を終えた時点で花巻東高・佐々木洋監督との面談で大学進学の方向性を固めていた。

 1歳上の兄で右腕・洸希さんは盛岡三高から筑波大へ進み、今年から社会人・七十七銀行でプレー。西舘は「高い壁。ずっと目標にしてきた」と慕う。高校進学に際しては、花巻東高の先輩・菊池雄星(現ブルージェイズ)、大谷翔平(現エンゼルス)にあこがれ、同校の門をたたいた。大学進学は筑波大も選択肢の一つだったが、中大へと進んでいる。

「当初は高卒でのプロ野球を目指していて、もしかしたら、行くことはできたかもしれませんけど、プロの世界で活躍する姿が想像できませんでした。日本で一番のリーグだと思っている、東都でプレーしたい、と。野球が終わったあとも考えて、やはり『大卒』は大事かな、と。川村悠真先生(野球部コーチ)が当時、野球ノートに書いてくれた『初志貫徹』の言葉を胸に秘め、大学進学を決めた時点で、ドラフト1位で行くことを4年間、変わらずに持ち続けてきました」

 高校3年の4月に162キロを計測していた、佐々木朗希が比較材料ではない。

「自分には、ライバルはいないんです。人のことを気にするよりも・・・

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