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2023日本シリーズ総決算 猛虎日本一

<ZOOM UP Players>阪神・死闘を制し、38年ぶりの日本一を達成 大舞台で輝いた男たち

 

近本光司 手がつけられないほど安打を量産してMVP


[日本シリーズ成績]率.483試7安14本0点4盗0

今シリーズは7試合で29打数14安打と大当たりでMVPにも選ばれた近本


 淡々と粛々と、日本シリーズでもその姿は変わらなかった。淡々とヒットを重ね、粛々と次の塁を狙う。そこに粛々と打点も挙げる。一番打者ながら、阪神打線の核であり続けた。逆王手をかけられた第7戦。オリックスの先発は、第2戦で手玉に取られた左腕・宮城大弥。近本も珍しく手も足も出なかった。しかし、対策を練り、第1打席で軽やかにセンター前に弾き返した。これで阪神ファンをそしてベンチも「今日は行ける!」という明るい気持ちにした。

 だが近本自身「チームが勝てばそれでいいので。特に気にすることなく積極的に打っていきたい」と日本シリーズ中、同じような言葉を並べ常に冷静を保っていた。

 第1戦からバットは好調だった。オリックスのエース・山本由伸に3回まで抑えられていた。しかし、4回の先頭打者の近本が遊撃への内野安打で出塁。すると5回には、打線が山本を捕まえた。1点を先制してさらに二死一、二塁の場面で、追い打ちをかけるように近本が三塁打を放ち2点を追加。ビッグイニングをつくってみせた。続く6回にも3点を奪い山本を降板させ、8対0で快勝。

「チームが勝てたのが一番良かった。それだけです」と多くを語らなかったが、試合には究極に集中していた。

 守備でも魅せる。第5戦では、走者が投手と見るや、走塁経験があまりないと考え、捕れない打球に対し、余裕で捕るようなフェイクを入れ、走者の足を一度止めさせ、二塁でアウトにしてみせた。

 常に冷静さを保ち、センターから球場全体を俯瞰(ふかん)して見ながら、自分がやるべきプレーを忠実にこなしていった。打撃では、四球を避けて厳しいコースを攻めてくるオリックスバッテリーに対し7試合で打率.483、4打点。第7戦は4打数4安打と手が付けられない状態にまでなっていた。

「昨年までは積極的に打っていってたので、そちらのほうにシフトした感じです」。今季はボールを見極め、四球を多く取った。当然、研究され日本シリーズではストライクをどんどん投げてきた。そこを逆手に、昨年までのスタイルに戻したことで、ヒットを量産しMVPを獲得したのだ。このシリーズで近本は、ボールを選んで打ってもヒットを量産し、積極的に打ちにいっても簡単に塁に出られるという、手の付けられない領域へと到達したのかもしれない。


森下翔太 「お調子者」ルーキーは日本一の三番打者に


[日本シリーズ成績]率.267試7安8本0点7盗0

 新人かどうかは関係ない。大舞台でセ・リーグ覇者の三番を打つ。この男が打つか、打たないかで勝敗が決まる。逆転の決勝打を放った第5戦、そして・・・

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