流した涙の意味は来季に示すほかない。故障者が相次いだ日本シリーズ、満身創痍のナインが懸命に頂点を目指すも連覇はならず。歓喜の日本一から1年、またも味わった苦杯は、来季への活力だ。浸透した『全員で勝つ!!』は、言い換えれば『相乗効果』を生むチーム。たぎる思いはナインに波及している。 取材・文=鶴田成秀 写真=佐藤真一、BBM 明日を変えるため
7戦63イニング、計24時間5分──。濃密な日本シリーズは敗戦で終幕も、スタンドから惜しみない歓声が監督・コーチ、選手に注がれた。右翼スタンドだけでなく、黄色に染まった
阪神ファンが沸く左翼スタンドに頭を下げ、ベンチに引き揚げた
中嶋聡監督が、ファンの思いに胸を打たれたのは想像に難くない。赤くなった目で一点を見つめながら口にする。
「悔しいですよね。負けて終わるのは2回目ですけど。勝って終わるのと、負けて終わるのでは、全然違いますよね」
リーグ優勝も吹き飛ぶほどとも言った悔しさは、結果のみならずチーム状態も無関係ではないだろう。主砲・
杉本裕太郎がCSで左足首を痛め、首位打者を獲得した
頓宮裕真は左足の指を疲労骨折。ベテランの二塁手・
安達了一も右ヒラメ筋の筋損傷、遊撃手・
紅林弘太郎も左手の薬指を痛め、セットアッパー・
山崎颯一郎は左腸腰筋痛と、約6カ月にわたる長いシーズンを戦い抜いたナインは満身創痍。それでも心の火は消さず、それどころかより熱くグラウンドに立った面々に、周囲が触発されないわけがなかった。
「ラオウさんの覚悟、知っていますから」
2勝3敗、阪神に王手をかけられて迎えた日本シリーズ第6戦の2回。左翼フェンス手前まで運ぶ勝ち越しの犠飛を放った
中川圭太の言葉は・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン