18年ぶりのリーグ優勝を「四球」でつかんだと言っても過言ではない。日本シリーズは、警戒され四球数は減り苦戦したものの、日本一に。打者がなかなかバットを振らない、というのは相手バッテリーとして精神的にきついものがある。だが、終始一貫、実行し「アレ」をつかんだ。ここでは「四球」を絡めた攻撃を考察していく。 写真=BBM 多くの四球を奪い、リーグ最多の得点を奪った打撃陣。リーグ最少の与四球で、最少の失点に抑えた投手陣。まさに投打がかみ合い「アレ」を果たした阪神ナイン。優勝は必然だった!?
四球が連勝街道を演出
選手たちは打席内での意識改革を行ったと言い、
岡田彰布監督は「四球の査定ポイントを見直した」と語る。どちらが真実なのかはどうでもいい話で、実際に選手たちが、四球をたくさん奪うことを実践して日本一を勝ち取ったという事実が重要なのだ。
「僕は早打ちが特徴でしたが、近本(光司)さんがよく出塁するので、走るのを待ったりしてボールを見る必要があった。それならいっそのこと打たずに待ってみようと」と
中野拓夢。「(開幕から)スロースターターなので、何か変えようと思っていた中で、ボールを待っていこうと」は近本。自ら考えて独自の型をつくったが、その大きなヒントを与えたのは間違いなく、岡田監督の四球への意識改革だった。
9月は1日から11連勝でリーグ優勝。その1日からの数試合を検証してみた。1日の
ヤクルト戦(神宮)。2回に本塁打で先制したあとの3回。先頭打者の近本が四球で出塁。続く中野のときに盗塁と悪送球で三進。中野は右前打を放ち点を奪った。続く四番の
大山悠輔の二塁打で三塁まで進塁した中野が2点目のホームを踏む。8回も本塁打で1点を奪い4対2で連敗を3で止め、ここから11連勝が始まる。
さらなる勢いをつけたのが翌2日の同戦。ヤクルトに2点を先制されて迎えた3回。二死二塁から近本が右前打で1点を返す。続く中野が四球を選び、三番に入った
小野寺暖が、右翼線へ2点三塁打で逆転する。四番・大山も打ちたいところだが、じっと我慢し、またしても四球を奪い一塁へ。二死一、三塁から五番の
佐藤輝明が3ランを放ち、二死から一気に6点を奪ってそのまま逃げ切った。
5連勝で迎えた8日、2位の
広島戦(甲子園)。2対0の5回、先頭の
ノイジーが四球で出塁すると
坂本誠志郎が犠打を決め、一死二塁から八番・
木浪聖也が右前適時打。1点を奪われた直後の8回裏には先頭の近本が四球。中野、
島田海吏は三振に倒れたが四番・大山が二塁打を放ち近本が生還。4点目を挙げ逃げ切った。そして・・・
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