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球春到来!! 2024ドラフト特集 注目選手CLOSE-UP【大学生編】

青学大・西川史礁(外野手)&佐々木泰(内野手)&児玉悠紀(投手) 東都3連覇を狙う3つの個性

 

2023年、名門・青学大は見事な復活劇だった。主将・中島大輔(楽天)がチームを束ね、常廣羽也斗(広島)、下村海翔(阪神)の右腕2人がけん引し、全日本大学選手権で18年ぶり優勝、明治神宮大会準優勝を遂げた。今春は2005年春から06年春以来の東都一部3連覇への挑戦。3人の中心選手はいずれもドラフト1位を志望。黄金時代再来へ、真価が問われる。
取材・文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

活動拠点の相模原キャンパス内にグラウンド、合宿所が併設された恵まれた環境である。昨年の春秋連覇の中心打者だった佐々木[中央]と西川[右]に加え、新エース左腕・児玉[左]がけん引する


明治神宮大会決勝での手応え


 青学大は昨年、東都大学リーグで春秋連覇を遂げた。リーグ制覇は2006年春以来。全日本大学選手権優勝は05年以来だった。リーグ戦で春秋における年間17勝のうち、常廣羽也斗(広島ドラフト1位)が6勝、下村海翔(阪神1位)が5勝を挙げている。昨年12月23日、東京都内のホテルで行われた優勝祝賀会の壇上で、常廣は新エースに147キロ左腕・児玉悠紀を指名した。

「4年生の投手が抜けてしまい、児玉に負担がかかってくると思うが、そこを何とか乗り切って、頑張ってほしいです。今年(23年)は前例がなかったのもあって、勝ったら、ただ『強かった代』と言われていた。来年(24年)、勝って最強になれる。本当に強いチームになる」(常廣)

 先輩からの言葉を受けて、児玉は言う。

「常廣さんは同じ九州出身(常廣は大分、児玉は宮崎)なので、寮を離れる前には『プロで待っている』と言われました。『150キロ出せ!』とも……(苦笑)。気にしていただいて、ありがたいです。下村さんからは、投球術を学びました。いろいろな球種を駆使して打者を打ち取る。自分にはないスタイルですので、ボールの出し入れなど、勉強になりました。『後継者』としての自覚はあります。自分たちの代が昨年よりも劣ったと言われないように、4年生としてしっかりとした形を残す。プロを目指しているので、先発する1回戦を大事に投げていきたい」

 宮崎県出身。三股ブルースカイでは巨人戸郷翔征の2学年後輩にあたる。「あこがれの先輩。自分のことは記憶にないと思います……」。中学時代は都城シニアでプレー。児玉が中学3年時、エース左腕・櫻井周斗(楽天)を擁する日大三高が招待試合で宮崎に来訪した。「誰も行ったことのない高校に進みたかった」。同遠征がきっかけで日大三高との縁が生まれ、東京の名門校に進学した。2年秋から主戦となり、櫻井と同じく、高卒でのプロを考えていた。「一冬を越えて、と思っていたところでしたが……」。コロナ禍の緊急事態宣言を受け合宿所は閉鎖。児玉は約4カ月、宮崎へ帰省した。「外出ができず、大した練習もできませんでした」。甲子園出場をかけた西東京大会が中止となった。アピールする場もなく、児玉はプロ志望届の提出を回避。高校で1学年上の捕手・佐藤英雄が青学大に進学した背景があり「自主性のスタイルが自分に合うと思った」と、同大学の門をたたいた。

 投手指導に長けた中野真博コーチの下でレベルアップ。常廣、下村のほか、お手本となる先輩の背中を見て育った。最大の見せ場は、昨年11月の明治神宮大会決勝(対慶大)。大学野球の年間タイトル4冠(春、秋のリーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)へ王手とした先発を託された。5回無失点。「自分がやってきたことしか、試合では出せない。別のことをやろうとすると空回りする」。好きな言葉は「平常心」と、練習してきた成果を出す場として集中した。試合は救援した下村と常廣が失点して惜敗(0対2)も、24年につながるマウンドだった。

 カブス・今永昇太の動画を見て、真っすぐの軌道を研究。「球威とスピードを追い求めていますが、152キロぐらい出せば、プロも近づく」と、中野コーチと二人三脚でテークバックからリリースまでの「横の間」を意識的に取り組んできた。「似ていると言われるんです」と、日大三高の先輩左腕である山崎福也(日本ハム)のゲームメーク能力を学んできた。

「(ドラフトは)トップ指名で行きたいです。1位で行くことに意味がある。球団の期待値も違うと思います。プロ入りできたチームが『獲得して正解だった』と思われるような活躍をしたいです」

最強のパートナーとともに


 中島大輔(楽天)から主将のバトンを受けた佐々木泰は進路についてこう語る。

「青学大に進学したのも・・・

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