21世紀になって以降のプロ野球公式戦は1万9521試合が開催され、353人が先発四番打者として起用された。その「先発四番としての出場時」に限った全個人成績を集計。項目別にランキングを作成した。 (記録は2023年閉幕時点、選手の所属は四番として最終出場した球団) 出場試合が1000を超えているのは中田翔、
金本知憲、ラミレス、
中村剛也、カブレラの5人。1位の中田は今季から所属する
中日でも数字を更新していくことだろう。2位の金本は01、02年の
広島、03〜09年の
阪神と21世紀で8年も「チーム全試合の四番」を務めた鉄人だ。3位のラミレスは01年から13年間のNPB現役生活を過ごし、
ヤクルト時代の03、05、06年、
巨人時代の09、10年と5シーズンにおいて「チーム全試合の四番」だった。ラミレスは03〜12年の10年間に限ると1411試合出場のうち1197試合(84.8%)で四番。5位のカブレラはNPB出場1239試合中1006試合(81.2%)で四番を務めた。この2人は、同一リーグ内で3球団に所属した点が共通している。
一方、彼らとほぼ同時期に活躍した元近鉄、巨人、
オリックスの
タフィ・ローズもNPB実働13年間で外国人選手最多の464本塁打を放ったスラッガーだったが、四番は390試合(01年以降)。内訳は近鉄で53試合、巨人時代はゼロ。390試合中337試合は07〜09年のオリックスで記録したものだった。近鉄と巨人で四番経験が乏しいのは、近鉄時代に
中村紀洋、巨人時代に
小久保裕紀という右の長距離砲がチームメートに存在したからだろう。
数字の積み重ねではなく「率」を比較すると、1000打数以上の打率ランキングでは
ソフトバンクから
柳田悠岐、
松中信彦、カブレラ、
李大浩の4人が、
DeNAからも
筒香嘉智、
牧秀悟、ラミレスと3人が上位10人にランクイン。この2チームは確実性のある打者を四番に据えるのが上手な傾向にある。
1本塁打あたりに要した打数を表す本塁打率では、ペタジーニと
バレンティンがツートップ。NPBでのキャリアをヤクルトで始まった両者はNPBの最後がソフトバンクだったという共通点があるが、ペタジーニはソフトバンクで四番を打ったことがない(バレンティンは20年に20試合)。
四番として出場した1試合あたりの平均打点を算出すると、今度はバレンティンが僅差で1位になったが、やはりこの2人が上位を占める。効果的な一発で走者をかえすことにかけては、際立っていたようだ。現役勢では
山川穂高が本塁打率3位、1試合あたりの打点6位。ヤクルトの
村上宗隆はどちらも7位に入った。これからこの数字を上げることができるだろうか。
西武の中村剛也は今季四番で1本でも本塁打を打てば、単独2位に浮上する。
「同一シーズンに四番として起用した人数」が最多だったのは、
日本ハムが22年に16人、昨年は11人と際立っているがこれは
新庄剛志監督の起用方針によるところが大きく、実質1位は11人を起用した14年の
ロッテかもしれない。
伊東勤監督の2年目は
井上晴哉を「ルーキー開幕四番」に起用したが、井上の四番は年間3試合だけで、同年の起用上位は
デスパイネの39試合、
今江敏晃の38試合、
サブローの25試合と安定せず、チームも4位に終わっている。
ランキングに名を連ねるのはOB、現役ベテランが大半だが、21世紀は続いていく。新たな最強四番の出現を楽しみにしたい。