プロの世界でも特徴的なデザインで目を引くキャッチャーギア。そして誰もが認める質の高いミット。ハタケヤマの捕手用具は、選手の意見やアイデアも形にしながら、年々進化を続けてきた。詰まっているこだわりを吉田社長に聞いた。 文=武石来人 写真=毛受亮介 “守る”から“止める”へ
OBでは、
谷繁元信(
中日ほか)、
相川亮二(
巨人ほか、現DeNAコーチ)、
大野奨太(中日ほか、現コーチ)といった名捕手たちが使用し、現役選手でも
伊藤光(DeNA)、
甲斐拓也(ソフトバンク)、
伏見寅威(日本ハム)というチームの主戦捕手たちが使用しているハタケヤマ。名だたる捕手たちから絶大な信頼を寄せるメーカーながら、本社は大阪・平野区の住宅街の一角にある。
実際にグラブを作る職人たちの数は10人ほど。経験豊富な60代から20代前半の若手までが日々選手たちの声や要望を聞きながら、自分たちにしかできないグラブ、用具作りに励んでいる。その誠実な仕事ぶりが多くの名捕手たちの信頼を呼び寄せてきた。
2022年から畠山佳久前社長のあとを受けて社長を務める吉田穂高氏は「選手とのコミュニケーション、機能性、その両方を大事にしています。やはり選手の方から要望があればちょっとこうしてみようかといろいろ変えてみたり、こちらから提案することも」と話す。
ハタケヤマのキャッチャーギアにおける最大の特徴も、そんな選手とのコミュニケーションから生まれた。プロテクター前部に付いているオリジナルの回転規制シート「ビブソーブ」は凹凸それぞれが独立し、クッションを内蔵しており、ワンバウンドボールの回転を止め、衝撃を吸収。結果としてボールは動きを止めて下にポトリと落ちる。
基礎となっているのは、10年ほど前に当時
ヤクルトに在籍していた相川が「ティーネットのように、ボールの衝撃を吸収できないか」と要望したことだった。吉田社長によると「ブロッキングにおいてはキャッチャーの方がプロテクターを締めて落とす技術が大事なのは確かです。ただ、私が選手に説明させていただくときは、うちのプロテクターは当てればよいと伝えています」。築き上げてきた技術を語る目には自信が見えていた。
従来のプロテクターのコンセプトは、どのメーカーも“体を守る”。とにかく痛みがなく安全なものが求められていた。もちろん現在も大前提の考え方ではあるが・・・
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