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平成×令和 捕手たちの辿る軌跡

阪神・坂本誠志郎インタビュー 『投手のために』が、勝利へ「投手が勝てるために、僕は何ができるかを常に考えて動く。投手がいい思いをするときは、チームは勝つ」

 

38年ぶりの日本一の立役者と言っても過言ではないだろう。捕手2人体制で臨みながら正捕手がケガで離脱。その後は、素晴らしいフレーミングと巧みな配球を駆使しほぼ一人で扇の要を守り抜いた。球界を代表する捕手技術を持つ虎の要の頭の中にある、「捕手としての在り方」などを聞いてみた。
取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也

チーム全体の調子が上がらない阪神の中で、先発投手の良さを引き出しながらリードをする坂本


捕球面を投手に見せる


 パドレスのダルビッシュ有が以前、フレーミング技術に対し「うまい。見ていて気持ちいい」と称賛した。それだけの技術を備えているのだが、実はプロに入ってから、裏方さんからのアドバイスを受け、努力して身に付けたものだった。さまざまなことを深く考察し、自分のものにしていこうという思考と、自分に合ったものを吸収しようとする力が、今の捕手・坂本誠志郎をつくりあげた。

──MLBでは「フレーミング」という言葉がよく使われます。「キャッチング」と何が違うのか、坂本選手はどう思われていますか。

坂本 18.44メートル先から投げてくる投手のボールに対し、捕球するところを投手に見せてあげる。そして球審にも捕球するところを見せてあげるというのが、僕の中でのフレーミングの定義です。

──キャッチングはいかがでしょうか。

坂本 あくまでも僕の中での解釈ですよ。走者が塁上にいることが前提なのですが、投げる(送球する)ために捕球することがキャッチングなのかなと思います。速くキャッチして、いかに早い動作で投げられるか。その早さをつくるためにどう捕ればいいのかが、キャッチングだと思っています。本当に大まかにまとめると同じ部類に入るとは思いますが、僕の中では2つは違うものでもあり、別のことをしているという認識です。

──そこを明確にできるのはすごいです。

坂本 ソフトバンクの甲斐(甲斐拓也)さんなどは、多分ですがメジャーのようなフレーミングで、いかにストライクと言ってもらえるか、という捕り方を研究されているんじゃないかなと。そこはすごくいいことだと思います。それで実際に投手を助けてあげられるということだと、フレーミングは必要なことですよね。どういう効果があるのかということをもっと勉強していきたいです。

──MLBではフレーミングをするときに一度極端にミットを下に落としてから、ボールを捕球します。

坂本 MLBのフレーミングを勉強しているわけではないのですが、試合を見ていると彼らは大きく動かしますよね。そこは上腕の力が強いために、大きく動いているように見えるのかなと。でも、その前にミットを下に落としてからボールをキャッチングにいくことに関しては理にかなっていると思います。

──下に落とす理由があると。

坂本 ボールを投げたあと、球は重力で必ず落ちます。どんな伸びのある球でも基本は落ちます。その下に行く球を、さらに下側から捕球しにいくことは、自然の摂理だと思うんです。

──それはやはり、投手へ捕球することを見せてあげる行為になりますよね。

坂本 それと同時にキャッチしたときに・・・

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