週刊ベースボールONLINE

プロ野球音物語 音に思いを乗せて

<STORIES>12の物語 音に込めし思い【セ・リーグ編】

 

スタンドのファンが鼓舞する応援、自らを奮い立たせる登場曲に、こだわりを持つプレーの音。それぞれ音に込める想いがある。男たちの12の物語──。
【パ・リーグ編】はこちら

阪神・岩崎優 18年ぶりの栄光の架け橋に



 9回裏、いつもの登場曲と違う曲が流れ始めた。18年ぶりの優勝が懸かった本拠地・甲子園での昨年9月14日の巨人戦。クローザーの岩崎優の名がコールされた瞬間、虎ファン全員の気持ちが一つになる。自然発生的に男性デュオ・ゆずの『栄光の架橋』を甲子園全体が大合唱した。

 2023年7月18日、28歳の若さでこの世を去った横田慎太郎さんは14年ドラフト2位で入団。唯一の高卒ルーキーで、礼儀正しく、実直な性格で誰からも愛された横田さんの思いとともに阪神は戦っていた。

 横田さんが脳腫瘍で入院していたときに出合ったのが『栄光の架橋』。同曲を励みに退院し、復帰を果たし登場曲に。だが、目の視力が回復せず完治することなく19年に現役引退。その後に講演活動などを行うも症状が悪化し帰らぬ人となった。「横田の思いも背負っていこうと思って、お願いしました。やはり普通には行けませんでした」(岩崎)。4対2で上がったマウンド。安打を浴びるも、最後は二飛で優勝を決めたが、左腕は笑うことなく、グラブとともに右手を天に掲げた。「やったぞ、横田!」──。横田さんと同期入団の岩崎を目掛け猛虎ナインが駆け寄り、梅野隆太郎の手には横田さんの24のユニフォームがあった。

 岡田彰布監督の胴上げ後、岩崎が指名され宙を舞う。手には梅野から受け取った横田さんのユニフォーム。横田さんの存在と魂が、18年ぶりの栄光をつかむ架け橋となった。

広島・菊池涼介 “もみあげ”で継承


 ファンファーレとともに『はじまりの〜鐘が鳴る〜♪ 広島伝説♪』。現在、攻守の要である広島・菊池涼介のものとして使用されているが、2016年までは廣瀬純(現二軍外野守備・走塁コーチ)の応援歌として歌われてきた。引退を機に、廣瀬から菊池に継承する形で、今も“広島伝説”が球場に響いている。

 きっかけは“もみあげ”。廣瀬が現役時代・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング