「この選手の番号は昔、あの選手が着けていたんだ」――。本来は単なる数字に過ぎない背番号というものに、なぜ野球ファンは「物語」を感じるのだろう。大相撲や落語のように師匠へと弟子入りし、名前の継承があるわけではない球界において、唯一それに近い「伝承」の役割を果たすのが背番号だからなのかもしれない。そして永久欠番は、大相撲や落語における「止め名」(栄誉をたたえ、その名前を継承させないこと)みたいなものだと言える。それほど、背番号には意味が込められている。ここでは現在の12球団から各1人、「新しい背番号でのスタート」に臨んでいる人物をピックアップ。それぞれの新背番号に込められている気持ちを、浮き彫りにしてみよう。 ※「2025年の新背番号」の情報は2月6日時点。育成を除く 
背番号31から21、そして11へと昇格を目指す
柴田獅子が着ける『31』は、
日本ハムのファンにとっては
小谷野栄一(
阪神コーチ)の背番号として馴染みが深いかもしれない。2003年にドラフト5位で入団した小谷野は『53』からスタートし、3年目に『31』へと変更。09年に初のゴールデン・グラブ賞、日本シリーズ優秀選手賞に輝き、翌10年から『5』に。その後もパニック障害に苦しめられながらも結果を残した。ファンにとって忘れ難い選手が着けた・・・
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