“チームスワローズ”が力を集結し、笑顔あふれる秋を迎えるために。課題の一つは、昨季リーグ最下位の防御率に終わった投手力の改善だ。セットアッパーとして君臨してきた右腕は昨季、悔しい1年を過ごした。この男の復活なくして、盤石なブルペン陣の構築は不可能と言える。再起を図る7年目はいかにして臨むのか。今季に懸ける思いを聞いた。 取材・構成=小林篤 写真=宮原和也、矢野寿明、兼村竜介 ※年齢は2025年の満年齢 
チームとしても個人としても悔しい思いをした昨季。反撃へ右腕の力は欠かせない[写真=宮原和也]
裏目に出た慎重さ
2020年から4年連続50試合登板をクリア。21年には歴代最多のシーズン50ホールドを挙げた、まさに『鉄腕』。だが、昨季は一軍登板数がわずか17試合に終わり、防御率は7点台と苦しんだ。ファームで過ごす日々、チームの力になれなかった。まさかの結果に終わってしまった原因はどこにあったのか。 ──まず、お聞きしたいのは、やはり昨年の結果についてです。歯車が狂い始めたのは、異変を感じたのは昨年のいつごろだったのでしょうか。
清水 そうですね……。昨年と言わず、23年の最後の1カ月あたりから、長打を打たれる機会、負けが込む場面が増えてきて。大事な場面を任される機会が多かったので、「打たれてはいけない、抑えなきゃいけない」というマイナス思考であったり、こぢんまりしてしまったというか。
──それ以前はもっと打者に立ち向かうことができていた、と。
清水 おそらく日本一になったとき(21年)や、2連覇のとき(22年)は荒々しかったのかなという感じがするんです。だからこそバッターも打ち損じる部分があったと思います。ただ、23年の最後からは丁寧になり過ぎて、コントロールはいいけど、(打者は)圧を感じないのかなと。映像を見ても周りの方は分からないかもしれないですが、ランナーが1人出ただけで険しい表情になっていたり。
──その異変は受け手である捕手やブルペン捕手からも気づきがあったのでしょうか。アドバイスをもらったりは。
清水 そうですね。すごくアドバイスはしていただきました。ただ、ブルペンではある程度そういった荒々しさを持って臨むようにしても、いざマウンドに立ったときに、バッターが向かってくるじゃないですか。そこで、僕は守りに入ってしまった。そういう部分で歯車がちょっと狂い出したのかなと思っています。
──実戦で思いどおりに力を発揮するのは、やはり難しいことなんですね。
清水 23年の最後は自分でもそうですし、それこそブルペン捕手の星野(
星野雄大)さんともすごい話をして。「もっとこうしよう、ああしよう」と毎試合、試合前の練習で試行錯誤してたんですけど……。緊迫した場面で(マウンドに)行ったときに成績が出なかったりで、不安を抱えたままシーズンが終わってしまったので。
──苦しみは24年も続きました。
清水 (24年の春季)キャンプに入るタイミングで、投手コーチとも話をしてカットボールに新しく挑戦しました。真っすぐとフォーク(の2つ)になってしまっていたので。ただ、去年はそこに深追いし過ぎてしまった部分がありました。そこに関して今年は「真っすぐを良くしよう」という気持ちを強く持ってブルペンに入っていますし、12月、1月の自主トレからすごく心掛けてやってきました。真っすぐがはまるからこそ、カットボールだったり、フォークやカーブの持ち球が生きると思うので、やはり僕の土台になるのは真っすぐ。そこに・・・
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