和歌山県橋本市にあるTSUTSUGO SPORTS ACADEMY。未来のスター候補たちが元気にボールを追う。しかし、ここでは決定的に違う点がある。内野には、全国的にも珍しい天然芝が敷き詰められているのだ。そこには子どもたちの成長を願う強い思いが込められていた。 取材・文=早川大介 写真=毛受亮介 
青々とした天然芝が輝くTSUTSUGO SPORTS ACADEMYのメイングラウンド
天然芝とともに育つ夢
和歌山県の山側、橋本市に、
横浜DeNAベイスターズに所属する
筒香嘉智が約2億円の私費を投じて作った球場「TSUTSUGO SPORTS ACADEMY」がある。2023年12月に完成した球場は両翼100メートル、中堅122メートルのプロ仕様。「ロサンゼルスにあるドジャースタジアムと同じサイズを目指して作りました。ファウルグラウンドも参考にしています」と説明してくれたのは、球場を管理する公益財団法人筒香青少年育成スポーツ財団の理事長であり、筒香嘉智の実兄・筒香裕史氏だ。
「メジャーの球場を参考にしようとしましたが、日本の球場は左右対称である一方、メジャーの球場は非対称なところが多いのです。調べた当時、左右対称だったのはドジャースタジアムと、レイズが使用するフロリダのトロピカーナ・フィールドくらいしかありませんでした。ただ、トロピカーナ・フィールドはドーム球場なので、ドジャースタジアム一択でした」(裕史氏)

メイングラウンドは両翼100メートル、中堅122メートルのプロ仕様規格。「ドミニカの選手たちは自分が成功すると、地元に還元するためにグラウンドを作ることがあります。そうやって次の世代へと夢がつながっていくのだと思います」[裕史氏]
球場に足を踏み入れると、何より目を引くのが、外野だけでなく内野にも広がる天然芝だ。多くの国内の球場では管理の手軽さから人工芝、もしくは土を採用している。NPBの球場を見ても、現在、天然芝の内野を採用しているのは
広島の本拠地・MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島と、
楽天の本拠地・楽天モバイルパーク宮城の2球場のみ。日本で野球をすることを考えれば、ぜいたくなスペックとも言える施設だ。
「海外の選手は幼いころから当たり前のように天然芝のグラウンドでプレーしています。そうした感覚は大人になってから身につけるのは難しいので、小さいころから養っていってほしいと、芝生の内野にこだわりました」(裕史氏)
日本だけでなく、世界にも目を向けて成長していってほしいという願いが、内野の天然芝に込められている・・・
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